難しいことに、ひととき融資の場合はいずれかの性犯罪に直ちに該当するわけではありません。
借主女性が18歳未満でなければ、青少年健全育成条例違反(いわゆる淫行)にはあたりません。
また、貸主とのみの肉体関係(性交渉)であれば「売春」といった不特定の相手方と対価を得て性交をしているともいい難く、売春防止法にも該当しません。
さらに、貸主による脅迫がなされたと認められるような言動が裏付けられなければ、強制性交等罪にもあたりません。
敢えて性犯罪で立件するのであれば、準強制性交等罪(刑法178条2項(5年以下の懲役))が考えられます。
準強制性交等罪というのは、相手方を抗拒不能(抵抗できない状態)にさせて性交渉をした場合に認められる犯罪です。
過去には
- タレントになりたい女性が芸能事務所の採用担当を名乗る男性との性交渉に応じてしまった事件
- 就職活動をしている女性が就職希望先にいる大学OBとの性交渉に応じてしまった事件
などでこの準強制性交等罪(旧準強姦罪)が認められています。
このような「ひととき融資」の肉体関係(性交渉)そのものの問題だけではなく、例えば、
- ホテル代まで支払わされる
- 避妊具をつけることを拒否される
- 性交渉時の動画や写真を撮影される
- 動画や写真をネタにさらに肉体関係や金銭を要求される
といった二次的な被害も受けるケースが多いです。
これらの行為にもそれぞれ犯罪が成立する可能性はありますが、借主女性は、お金を借りているという後ろめたさ、動画などを拡散される恐怖心などから、警察などに相談できないケースも多く、被害として表に出ているのは氷山の一角ではないかと思います。