ひととき融資とは、「性行為の相手として『ひととき』の時間を過ごす」ことなどが由来とされるお金を借りる方法です。

被害かなり多いとみられていますが、表面化するケースは少ないです。

とある捜査幹部は「女性も金が必要で、性的関係を強いられても声を上げることができないのだろう」とみています。

「借り手は足下をみられ、不利な条件を受け入れざるを得ない」といった構図はひととき融資に限らず、個人間融資全般に広がっており、さらなる危険性も潜んでいるとされています。

「善意の個人を装って融資を持ちかけているのは、ほとんどがヤミ金業者だ」と、借金に関わる相談を多く受ける大阪市北区のウイズユー司法書士事務所の奥野正智代表司法書士は断言しています。

奥野さんによると、個人間融資はすでに消費者金融で借金を重ねるなどして信用情報が傷つき、ほかに借りるアテのない人が希望することが多くなっています。

SNS経由の気軽さから、他に借金のない10代~20代の若者の利用も目立ち、それらを食い物にしようとするヤミ金業者が個人を装って融資を持ちかけているといいます。

個人から借りたと思い込んでいるうちに、個人情報がほかの業者に悪用されたり、保証金名目で現金をだまし取られたりする被害に遭うこともあるのです。
大阪府での『ひととき融資』にまつわる事件
とある日、大阪府千早赤阪村職員の男(36)は大阪府警八尾署などに逮捕されてしまいます。

その逮捕容疑は無登録で貸金業を営んだほか、法定を上回る金利を受け取っていたなどとされるものですが、特異なのは男の融資条件でした。

同署によると、男は平成24年ごろからネットで見つけた「個人間融資」を募る掲示板などで、融資を求める書き込みをしている女性を物色し始めます。

そして、融資が決まるとホテルで会い、現金を手渡していました。

その際、利息や返済期間を記した借用書も作っていましたが、そこには書かれていない「性的な関係を持つ」という条件も口頭で約束していたのです。

融資や返済のたびに関係を求め、女性が拒めば、利息を5,000円も上乗せしていたとされています。

男の自宅からは、16人分の女性名義の借用書が見つかりました。

同署の捜査では融資相手は10代~40代となっていました。

多くて1人あたり十数万円を貸し、月に1~2回は会っていたとみられます。
『ひととき融資』の問題点は『性被害』!
難しいことに、ひととき融資の場合はいずれかの性犯罪に直ちに該当するわけではありません。

借主女性が18歳未満でなければ、青少年健全育成条例違反(いわゆる淫行)にはあたりません。

また、貸主とのみの肉体関係(性交渉)であれば「売春」といった不特定の相手方と対価を得て性交をしているともいい難く、売春防止法にも該当しません。

さらに、貸主による脅迫がなされたと認められるような言動が裏付けられなければ、強制性交等罪にもあたりません。

敢えて性犯罪で立件するのであれば、準強制性交等罪(刑法178条2項(5年以下の懲役))が考えられます。

準強制性交等罪というのは、相手方を抗拒不能(抵抗できない状態)にさせて性交渉をした場合に認められる犯罪です。

過去には

  • タレントになりたい女性が芸能事務所の採用担当を名乗る男性との性交渉に応じてしまった事件
  • 就職活動をしている女性が就職希望先にいる大学OBとの性交渉に応じてしまった事件

などでこの準強制性交等罪(旧準強姦罪)が認められています。

このような「ひととき融資」の肉体関係(性交渉)そのものの問題だけではなく、例えば、

  • ホテル代まで支払わされる
  • 避妊具をつけることを拒否される
  • 性交渉時の動画や写真を撮影される
  • 動画や写真をネタにさらに肉体関係や金銭を要求される

といった二次的な被害も受けるケースが多いです。

これらの行為にもそれぞれ犯罪が成立する可能性はありますが、借主女性は、お金を借りているという後ろめたさ、動画などを拡散される恐怖心などから、警察などに相談できないケースも多く、被害として表に出ているのは氷山の一角ではないかと思います。