ロミロミとはハワイ語で「揉む、マッサージする」という意味を持ち、古代ハワイ王朝から続いているハワイの伝統的な民間医療です。かつては王族が心身を癒すために行われていたマッサージで、神聖な儀式としてその血族の中の選ばれた者だけに継承されてきた、ハワイ諸島発祥のヒーリング療法。

すべてを包み込み、相手を思いやる心で肘や腕､手の平等を使用する独特な技法で、全身をゆっくりと優しく、時にはフラダンスを踊るようにリズミカルな刺激で施術し、心と体のバランスを整えていきます。

ロミロミは、古代ポリネシアン民族により伝わる伝統的なマッサージです。１８世紀後期、カメハメハ大王が築いたハワイ王朝時代の、医療や薬が発達していなかった何世紀も前からロミロミは存在していました。この時代には、ネイティブハワイアンのカフナ（聖職者）と呼ばれる特別な力と才能を持ったヒーラーから、選ばれし者だけに伝えられ、その者だけがこの施術を行う事が出来るとされました。もともとは王族だけに、病を取り除く癒しの治療法として許され、王族以外には施術する事も伝承する事も許されていませんでした。

健康を保ち病気を治すと言われたロミロミは、人間の心と身体にマナを授かるひとつの神聖な儀式だった為、当時はヘイアウと呼ばれる神殿を中心に、王族の血縁者達だけの間で行われてきた特別な技術なのです。

古代ハワイアンは文字をもたなかった為、ハワイ文化の伝承は、フラやチャントのように、口承で伝えたり、言葉を動きで表現したりと、様々な生活の知恵は独自の動作と言葉でのみ、後世に伝えられていきました。

ロミロミの施術方法が一切の文献をもっていないのはこの為です。血族の中の選ばれた者だけにより、その血族内で技術と知恵が継承され続けてきたのです。

1970年代～1980年に起こったハワイアン・ルネッサンス運動（民族精神復興運動）により、ハワイアンの伝統文化が再認識され始めました。

これまで長いハワイの歴史の中で、限られた王族の間だけで守り続けられ、血族内でのみ継承され続けてきた門外不出の秘技ロミロミ。ハワイの伝統文化であるこのロミロミを、後継者の家系の者でない多くの人に伝承したいと、親族の反対を押し切り、ハワイアン以外の者に初めて門戸を開いて伝えたのが、アンティーマーガレット・マシャド女史です。