窯について
伝統的な薪火の石窯は欧米で「roman(ローマ)」「black(黒)」窯とも呼ばれ、少なくとも西洋文化の共和政ローマ時代までさかのぼる。
「black oven」は、燃料の木材の煙で窯の天井にすすが付くことから呼ばれる。このような石窯は、中世ヨーロッパで広く使われ、地域共用に作られることも多かった(フランスの four banal は地方自治体の所有であり、使用料を徴収していた)。アメリカでは、石窯は植民地時代に広まり、現在も職人パン屋、ピザ店、ピザや焼き料理を専門とするレストランで使われる。植民地時代の「beehive(蜂の巣)oven」や、フランスの four banal を元に設計した「quebec(ケベック)oven」が派生した。
石窯の機能は炎の熱放射を閉じ込めることにある。炎はオーブン内(上記の薪火窯)または窯に通気孔がつながる火室で(white oven)燃焼する。煙は石窯の前面から直接外部へ、または石窯の扉の真上の煙突を通じて排出される。前面に出し入れ口がある設計の石窯は、タンドールのような上部が開くオーブンより多少熱効率が良く、最後までの燃焼を必要とすること無く余熱と弱火で長時間焼くことが出来る。
石窯は、通常耐火煉瓦や粘土のような耐火物で、または耐火セメントで直接型を取って作られる。パン焼き用の石窯は、薪が燃え尽きた後に数時間の熱を保持できるように非常に厚く作られ、ピザや他の直火を用いる調理用の石窯はより薄い構造にできる。正式なローマ式石窯は一般に卵型に近く、焼き面の上がアーチ状の天井となる構造である。正面の口の高さは窯の天井の高さのおよそ63±5%が理想で、高すぎると熱が逃げ、低すぎると窯が完全に燃焼しない。
ロッソネロではこのローマ式石窯を採用し、生地が薄いこともあり予熱を利用して適切な温度を保つようにしている。