一般的にSEへ転職をする場合、スキルや実績も重要ですが、同じスキルレベルの応募者の選考であれば、無資格より有資格の方が有利になる可能性が高いでしょう。
しかし、資格がないとSEに転職できないわけではありません。資格は技術者としての知識や学習意欲の証明ですが、世代によっては資格を持っていて当たり前と認識している場合もあります。また、業界や企業風土によっても、資格への評価が分かれます。次章で詳しく紹介します。
新卒や20代の場合
SEの仕事には、当然ながらスキルが求められます。求職者が20代と若いうちはスキルがなくても、その伸びしろに期待するポテンシャル採用で、転職が成功する可能性もあります。
資格を持っていないことが一般的ともいえる20代の新卒や、第二新卒(26歳くらいまで)で資格を持っていると、同年齢、同学歴のほかの応募者の中で優位に立てるかも知れません。採用担当者に対して、ポジティブな印象を与えることになります。
30代の場合
30代の転職では事情が変わり、資格を持っているだけでは選考で有利にはなりません。30代で重視されるのは実績や、即戦力として何ができるのかということだからです。
30代の求職者にとって資格はキャリアを証明する材料に過ぎず、採用側にも、きちんとスキルを積んできたのであれば資格保有は当然という考え方もあるため、30代でSEに関する資格を持っていることで特別有利にはならないでしょう。逆に、業界や企業によっては「持っていて当然」とみなされる資格を持っていないことがマイナス材料になるパターンもあります。
一方で、転職活動のなかでも書類選考フェーズは、開発の実務に詳しくない人事部門の担当者が実施する企業も少なくありません。その場合は職務経歴よりも分かりやすい、保有資格が書類選考の判断基準として効果を発揮することもあります。
SEの転職における資格取得4つのメリットとは?
資格で必ずしも有利になるわけではないとはいえ、SEに関連する資格は持っていて損になることはありません。SEの転職において資格を取得するメリットについて解説します。
メリット1:他の応募者に差をつけることができる
前項と重複しますが、資格保有が有利に作用するのは20代までです。新卒や第二新卒(26歳くらいまで)はキャリアが浅いため、資格を持っているとキャリア不足を補ってくれるでしょう。他条件で同レベルの候補者の中に資格保有者がいると、書類選考時に選考者の目に留まりやすく、有利になることがあります。
資格は面接時にも有利に働くかもしれません。初対面の面接担当者に対して、資格によってはアピールポイントとなる場合もあるからです。
メリット2:キャリアの裏付けとなる
資格はスキルやキャリアの裏付けです。30代以上の転職では持っていることが前提になることが多いものの、ポテンシャルの証明にもなります。つまり資格試験に合格したことが学習能力の証明になるのです。
SEはクライアントの職場に常駐する場合も多いので、資格保有はクライアントからの信頼獲得にもつながります。
メリット3:転職先でSE同士の共通知識となる
SE資格の保有者には、一定以上の専門知識やスキルがあることがわかっているので、職場のマネージャーも安心して業務の割り振りや引き継ぎができます。まったくの未経験者と違い共通認識があることがわかっていれば、エンジニア専門用語を使って指示を出せますし、説明の手間が省け、業務の効率化につながります。リーダーや管理者にとっては、資格保有者は喜ばしい存在です。
メリット4:資格手当や昇給の対象となる
資格によっては、それを取得したという行動自体が高く評価されます。IT技術は進化のスピードが早く、継続的なスキルアップが欠かせません。スキルの証明には資格が有効であるため、多くのエンジニアが取得を目指します。
企業によっては保有者に手当が出ることもあり、給与面での優遇も期待できます。資格が多いほど手当が増えたり、昇進の条件になったりもします。ただし、資格に対する考えは企業により異なり、優遇される保証はありません。
SEの転職活動に有利な資格の種類は?違いやおすすめの資格を紹介
SEの転職活動に有利な資格には「ベンダー資格」と「国家資格」のふたつがあります。ベンダー資格は一般企業による認定資格で、国家資格は、国または国が委託した指定機関が認定します。
ベンダー資格
ベンダー資格を持つメリットは、資格対象ソフトのスキルレベルと実務能力を示せる点です。しかし、マイナーなベンダー資格ではアピールにならないこともあります。費用対効果を高めるには知名度の高い大手企業認定のベンダー資格が狙い目です。
おすすめのベンダー資格①:マイクロソフト テクノロジ アソシエイト
マイクロソフト テクノロジ アソシエイトは、IT関連事業で働きたい人のための認定で、マイクロソフトが認定する初心者向けのベンダー資格です。
以下は試験で出題される内容の一部です。
-Windows OS知識
-セキュリティ知識
-Windowsサーバー知識
-データベース
-アプリケーション開発基礎
-プログラミングの基礎
取得すれば、技術情報系の基本的な知識を持っていることを証明できます。
おすすめのベンダー資格②:ORACLE MASTER
ORACLEMASTERはOracle社が認定する資格で、データベース管理ソフトOracle Databaseに関する知識とスキルがあることを証明できます。
試験内容は、OracleDatabaseを使用したデータベース管理に必要な知識やアプリケーション開発のスキルに関する問題で、グレードによって難易度が異なります。
グレードは難易度の低いものから「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」となっており、初めはBronzeを習得しなければ、次のグレードの受験はできない仕組みになっています。
おすすめのベンダー資格③:Oracle認定Java資格
Oracle認定Java資格は、Oracle社が認定するベンダー資格です。取得すれば、Java言語に関する知識や技能レベルを証明できます。企業システムや、クラウドなどのアプリケーション開発の現場で評価される資格です。
難易度は「Bronze」「Silver」「Gold」の3段階あり、BronzeはJava初級者向け、SilverはJavaによるオブジェクト指向プログラミングの理解が中心になります。
おすすめのベンダー資格④:Cisco Certified Network Associate
Cisco Certified Network Associateは、通信機器大手のCiscoが主催するベンダー資格です。
試験ではネットワークやIPサービス、セキュリティなどに関する基礎知識が問われます。取得によりデータセンターやセキュリティ、サービスプロバイダーに関する知識を証明できます。
おすすめのベンダー資格⑤:Android技術者認定
Android技術者認定試験には、アプリケーション技術を認定するものとプラットフォーム技術を認定するものの2種類があります。Android技術者認定資格があれば、Androidのアプリケーション開発の技術を持っていることを証明できます。
資格を取得していない場合のSEの転職活動の対策法は?
今すぐ転職したいのに、資格がないことを気にして転職活動を始めないのはナンセンスです。有利な転職活動に必要なことは、資格以外にも多くあります。資格は知識やスキルの証明に過ぎません。
資格なしでも、転職活動を有利に進める方法はあります。大事なのは企業のニーズを知ることです。求人情報を読み込み、自身の経歴やスキルとの関連性を見出してアピールすることで、資格ではなく熱意やポテンシャルが評価されることもあります。
ただし、受けたいと思ったポジションの募集要項のなかの必須条件に資格保有が明記されている場合は要注意です。最短のスケジュールで資格を取得できるように試験の準備を始めるか、無資格だが資格保有に相当するスキルや知識、実績をアピールするかの作戦を考えましょう。
転職理由は前向きなものにする
転職理由を伝えるときに意識することは、「退職理由≠転職理由」ということです。前職でいくら嫌なことがあったとしても、前職の悪口を言ってはいけません。それは退職理由であって、志望する会社に入りたい理由にはならないからです。
転職理由を伝えるときは、ポジティブに伝えることが大切です。前の職場から志望する会社へ移る理由を前向きに言い換えることで、よい印象を与えることができます。「前職と自分が合わなくなった」→「御社の方針に共感した」→「転職を決意した」という流れになるようにすれば、スムーズに説明することができます。
前職の悪口を言うのではなく、あくまでも「前職の方針や環境と、自分の能力や目指す姿が合わなくなった」と説明することが肝心です。その際に、自分の技術力や専門性をアピールすることができれば、さらに良いでしょう。
自分の専門性をアピールする
自分の専門性をアピールすることは、SEにとって重要なことです。会社の方向性に不安があって転職をする場合でも、あなた自身が持つ技術力や専門性と絡めながら説明することで、面接官によい印象を与えられます。
業務の時間外での資格取得やセミナーへの参加など、専門知識を学んできたことをアピールするのも有効です。専門的な仕事の教育時間を最小限にしても、自主的に成長してくれるスタッフは会社にとってプラスになります。
しかし、専門性だけをアピールしても転職は成功しません。転職の際に一番重視されるのは、これまでの実績や経験、経歴です。前職での成果や実績を、積極的に伝えるようにしましょう。
例文
前職でSEとして○年間経験を積んできました。主な実績としては○○のプロジェクトで○○に取り組み、○○といった成果を出しました。このプロジェクトでは○○に苦労し、○○といったピンチも経験しましたが、○○や○○の工夫をすることでこの壁を乗り越え、成果に繋げることができました。また、業務時間外にも資格取得のための勉強をしたりセミナーに参加したりすることで技術力を磨いてきました。しかし、前の職場が方針を転換したことによりその技術を活かす機会がなくなってしまいました。
私が勉強してきた技術を高く評価し活用している御社で、培ってきた技術を発揮し利益に貢献したいと考えています。
事業・サービスへの関心を伝える
その事業に、SEとしての自分のスキルで貢献したいという想いを伝えることも重要です。「大企業だったので」「CMで見たから」といった理由はよい印象を与えません。事業内容のどんなところに惹かれたのかを原体験を交えて具体的に説明できれば、面接官もあなたと一緒に仕事をしたくなるでしょう。
例文
前職では、ソフトウェアの開発を行っていましたが実際は他社のサービスの仲介・斡旋でした。理想としては、クライアントにとって本当に必要な機能を実装したソフトウェアを提案し、自ら開発したかったのですが、現実は代理店のような仕事をせざるを得ず、クライアントの利益を考えた開発ができないジレンマもありました。
Web業界で独自サービスを展開している御社なら、利用者の利益を考えた開発ができると考え、転職を希望しています。
キャリアアップへの意欲を伝える
SEとしてのキャリアアップを求めて、転職を希望していることを伝えるのも有効です。出世意欲が少ない若者が問題視される中、向上心を持って仕事に取り組む人材は好印象を与える場合もあります。キャリアアップに必要な経験を積んできたことや、資格試験の勉強をしていることなどを伝えるとさらに効果的です。
例文
前の職場で、私は開発系のSEとして働いていました。初めはプログラミングのみを担当していましたが、現在では基本設計の段階から携われるまでに成長できました。これまで培ってきたキャリアを活かし、現在では部下や後輩を指導してチーム全体で成果を上げることにやりがいを感じています。
しかし、前の職場は大手企業の下請けでしたので、上流工程で仕事をするためのポストに限界がありました。そのため、さらなるステップアップを考えて、御社に応募させていただきました。
「待遇が良い」という理由は言い換える
「給料が高い」「ボーナスが高い」「休みが多い」など、待遇のよさが転職理由の場合、上手に言い換える必要があります。確かに、待遇が悪い企業から待遇がいい企業に転職したいという気持ちは誰にでもあることですが、それを第一の理由とする人を採用したいと思う面接官は少ないでしょう。
そのため、「待遇がいいから」という理由は、「自分を大切にしてくれる会社に貢献したいから」という理由に言い換えて伝えるようにしましょう。
ただし、業界の常識に照らしても明らかに劣悪な待遇の職場で働いている場合はこの限りではありません。「勤続8年目のリーダーなのに新卒と給料が同じ」「家族との時間が全く取れない」「労働環境が悪すぎて体調を崩す同僚が続出している」といったレベルであれば、正直に伝えることは必ずしもマイナスになりません。
例文
SEとして長年キャリアを磨いてきました。私のモットーは「値段以上の働きをすること」で、会社に報酬以上の価値を返すために目の前の仕事に全力で取り組み、成果を出しながらスキルアップしてきました。
しかし、前の職場では、その給与体系上、SEとして積み上げてきた成果に見合った給与をいただくことが難しくなってきました。
御社は、実力や成果に応じて、それに見合ったポストを用意する社風だと聞き、自分の実力を最大限に発揮して利益に貢献したいと考え、転職を決意しました。
はじめに、「どの企業に提出するときでも必ず記載するべき共通の項目」について解説します。具体的には、以下の項目は職務経歴書を構成する上で必須となるでしょう。
就業期間プロジェクトの詳細および、そこでの担当業務作業環境・開発環境プロジェクトの規模これらの項目を一度作成しておくと、次回以降の転職でも継続して流用できます。はじめての転職では大変な作業かもしれませんが、面倒くさがらずに自分のキャリアを棚卸してください。
では、それぞれ順を追って解説させて頂きます。
1.就業期間20xx年xx月~20xx年xx月まで働いたという就業期間は、必ず記載する必要があります。書類上からは、SEが磨いてきたスキルの詳細が見えにくいため、就業年数でスキルレベルを予測することも多いのです。
このとき、就業年数を偽るのはご法度です。年金の記録などから、虚偽の記載は必ずバレてしまいます。
また、SEの経歴の合間にアルバイトなどの経験があるなら、念のため記載しておいたほうがよいでしょう。
空白期間が空いていると、必ず深掘りされるので、あらかじめ記載しておくに越したことはありません。
2.プロジェクトの詳細および、そこでの担当業務プロジェクトの詳細や、そのプロジェクトでの担当業務は、最も重要な項目です。中途採用では経験が重要視されるため、自分が何を経験してきたのかを明記する必要があります。
3.作業環境・開発環境
作業環境や開発環境も大切です。「どのようなプログラミング言語の経験があるのか?」、「サーバー操作の経験は?」など、面接官は自社の現場で通用するかを知りたがるからです。
4.プロジェクトの規模
プロジェクトの規模と、自分の役割を記載するのも重要です。大規模・小規模がわかれば、面接官にあなたの今までの働き方が伝わります。
また、プロジェクトだけではなく、そこでの役割を説明することで、自分が積み重ねてきたスキルを証明できるのです。
面接予定の企業に合わせて記載するべき項目
次に、面接予定の企業に合わせて記載するべき項目を解説します。
あなたはSEとして、さまざまな経験をしてきたでしょう。その中から、入社したい企業の面接官に響く経験をピックアップして記載する必要があります。
具体的には、以下の2点を記載してください。
ITスキル以外の自己PR面接予定の企業で生かせるスキル
書き方次第で、希望の企業に入社できるかが決まります。手を抜かないように気をつけてください。
1.ITスキル以外の自己PR
ITスキル以外の自己PRも重要です。いくらエンジニアといっても、技術力以外の人間としての部分が欠落していたら、仕事は成り立たないからです。
あなたの業務経験を盛り込んで、自己PRを完成させる必要があります。
2.面接予定の企業で生かせるスキル
面接予定の企業で生かせるスキルを簡潔に記載する必要があります。特に、職歴が複数ある場合、どの職場での経験をアピールするかで、面接官に対する伝わり方が異なるのです。
習得スキルを表にして視覚化する
SEとして磨いてきたスキルを証明するために、習得スキルを表にまとめるのも面接官にとってありがたい行為です。ITスキルに関する質問をするときに、面接官が的を得た質問ができるようになり、面接を有利に進めることもできます。
開発環境・レベル・経験年数をわかりやすく分類することで、面接官が質問しやすい状況を作り出してください。
ひとつの会社に依存しないこと
IT業界で生き延びたいのであれば、ひとつの会社に依存してはいけません。常に、幅広い分野からスキルを獲得したり人脈を広げたりすることで、どこの現場でも通用する人間になれるからです。
特に、IT業界は、栄枯盛衰が激しいのが特徴です。運よく優良企業に入社しても、10年後には倒産していることもあり得ます。
そこで、自分のエンジニアとしての幅を広げる取り組みが必要になります。
具体的には、以下の5点は視野を広げられる活動です。
人脈を広げるのではなくコミュニティを作る勉強会に参加する専門誌を購読する社内外に師匠を作る各種スクールに通う
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.人脈を広げるのではなく、コミュニティを作る
IT業界で長年活躍したいのであれば、社外の人脈を大切にしてください。社内の人間関係だけで完結していると、企業の倒産や転職などで人間関係がゼロになってしまうからです。
このとき、人脈を広げようとするのではなく、「コミュニティを作る」ことを考えてください。
例えば、「Rubyを使用して、月50000円の広告収入が得られるWebアプリを作る会」のように、目的のある会を作るのです。
そこで、あなたと誰かが繋がるだけではなく、誰かと誰かが繋がる場所を用意してください。
たとえあなたが主役になれなくても、コミュニティを用意したあなたには、多くのメリットがもたらされます。
マネジメント能力が身に付くコミュニティのメンバーから感謝されて、見返りがある他業界の人と仲良くなれる
上記のようなメリットは、コミュニティを作ったからこそ得られるものです。
2.勉強会に参加する
勉強会に参加するのも、IT業界で生き延びるために必要です。知識・スキル・レベルの高い人脈が手に入るからです。
例えば、自分が学びたい言語に関する勉強会に出れば、間違いなくその分野において自分より詳しい人と出会えます。
休日に勉強会に集まる人たちは、お金のためにプログラミングをしている人と比較したとき、どのような特徴があるかを考えてみてください。
結論をいうと、彼らは「心からプログラミングを楽しんでいる人たち」が多いです。
あなたの会社にも、会社に命令されたわけでもないのに、新しい技術を学んでいる社員はいませんか?
そのような人たちが、ひとつの目的の元に集まって学習するのですから、会社で働いているだけでは出会えない人とも出会えます。
そこで、有能なエンジニアから刺激を受けてスキルを高めたり、人脈を作って転職に生かしたりできるのが、勉強会に参加するメリットです。
「コミュニティを作るのはハードルが高い」
このような考え方を持つ方は、まずは他人の勉強会に参加してみてください。
3.専門誌を購読する
専門誌の購読も、他のライバルに差をつけるために有効な手段です。業界の最新事情を追うことで、次に流行る技術などを見出だすことができるからです。
例えば、現在インフラエンジニアにとって、仮想化の技術はどこでも使われるようになりました。
たまたま仮想化の技術を使っていない現場にいたとしても、専門誌を読んでいたら必ず目にする機会があります。
そこで、いち早く仮想化の技術を身につければ、転職市場で面接官から「うちに不足しているスキルを持ったエンジニアだ!」と判断されます。すると、経験不足や年齢の壁を破って、良い仕事を得られるのです。
IT業界では技術の移り変わりが激しく、ベテランより若手の方が特定の技術に詳しくなるチャンスがいくらでもあります。
学歴や今までの職歴に自信がない方でも、これから流行る技術を身に付けて、ステップアップしてください。
また、すでに良い仕事に就いている方でも、時代に取り残されないように、継続して業界の最新事情を専門誌で追うのが好ましいでしょう。
4.社内外に師匠を見つける
社内外に師匠を見つけるのも、IT業界で常に成長し続ける手段です。自分が目指すべき人間像を明確にすることで、現状の自分に足りないものがわかるからです。
このとき、社内では先輩や上司、社外では勉強会などのコミュニティメンバーに師匠(心の師匠を含む)になってもらうことでしょう。
そこで、「クレクレ君」になってはいけません。ちなみにクレクレ君とは、貰うことばかり考えていて与えることを考えない人のことです。
あなたは、貧乏人から「お金をクレクレ」とせがまれたら「うざいな乞食…」と感じませんか?
しかし、上記の不快さは、お金以外の「スキル」や「時間」でも同じことがいえます。
その人がスキル獲得に使った費用や、有能なエンジニアが持っている時間のことを考えずに、無料で受け取ることばかり考えていると、最終的には必ず嫌われます。
そうならないために、あなたは師匠に対して何かをお返しする必要があります。
例えば、相手が甘いものが好きだったら、行列ができる洋菓子店で買ったお菓子をプレゼントするのも良いかもしれません。
ほかにも、エンジニアは仕事で女性と絡む機会が少ないです。あなたに学生時代の女性の友人などがいるなら、女性を交えた飲み会を開催するだけでも、喜ばれる機会があるでしょう。
このように、師匠になって欲しい人間が何を求めているかを見極めて、積極的に与えることを意識してください。
これで信頼関係ができれば、師匠からスキルを頂く土台が出来上がっているといえます。
5.各種スクールに通う
オンリーワンのITエンジニアになるために、各種スクールに通うのも、IT業界で生き延びる秘訣といえます。
他のエンジニアにはないスキルを身に付けることで、あなたにしか出せない価値を生み出せるようになるからです。
例えば、運用SEの現場では、開発スキルを持った人間が少ないです。このような現場でExcelのVBAを使いこなせると、業務量を減らせるツールが開発できます。
「運用スキル + VBAスキル」という組み合わせで、オンリーワンの価値を生み出しているのです。
このような組み合わせは、いくらでも思い付けます。
例えば、IT業界では「英語」と出くわすことがよくあります。特に、海外製の機器を使う、ネットワーク業界や組み込み業界では、少し深いところを調べると英語の解説しか存在しないこともしばしばです。
そこで、英語を読むところまでは、エンジニアが何とか乗り換えられるところです。
しかし、「英語で、海外の方とメールでやり取りする」となると、大半のエンジニアが脱落します。
仮に、あなたが「海外の人とメールで意志疎通できるレベルの英語力を有している」となれば、あなただけの価値を出すことも容易いのです。
他にも、リーダーとして出世していくなら、「話し方教室」も面白いでしょう。
朝礼・夕礼・報告会・プレゼンテーションなど、まとめ役になればなるほど、人前で話す機会は増えます。そこで堂々と話せる人間は、それだけで頼もしい人間だと認識されるのです。
このように、スクールに通うことで多くのスキルを身に付ければ、ITスキルと組み合わせて独自の価値を生み出せます。
■エンジニア職
エンジニアになるには、専門的な資格は必要ありません。実際に10年以上活躍するエンジニアの中には、資格をひとつも持っていない人もいるほどです。とはいえ、入社後に取得したり、スキルアップをするために勉強したりする人が多いです。また、資格手当を充実させ、取得を促す取り組みを実施している企業も多くあります。入社時に取得していれば、月給として資格手当が、即上乗せということもあるので、ぜひおすすめです。
たとえば……
・基本情報技術者
プログラマーやシステムエンジニアなどのIT業界で活躍する職種で活かせる資格です。情報処理に必要な思考の仕方、基礎的なIT知識が出題されます。IT業界への入門資格といえます。多くのIT企業で、まず取得を目指すように薦められる資格です。
・情報処理安全確保支援士
情報社会が加速する中で、企業などのサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。そこで、サイバーセキュリティに関する専門化の証として創設されたのが、情報処理安全確保支援士です。急速にニーズが拡大しているセキュリティ分野だからこそ、市場に約8万人もの人材が不足しているといわれています。注目されている資格のひとつだといえるでしょう。
・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
エンジニアというと少しハードルが高い…と感じてしまう方には、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)がおすすめです。ビジネスシーンで利用するWord、Excel、Power Point、Access、Outlookのそれぞれにおいて、操作の基本知識を問われます。パソコン操作に関しては問題がないという証明になるため、エンジニアだけではなく、事務系の職種にも活かせるでしょう。
■技術職
特に豊富な資格があるのが、技術職です。一つひとつの技術に資格がついているといっても、過言ではありません。資格を取得していくことで、できる仕事の種類が増えていく面白さがあります。資格によっては、受験資格として実務経験が必須とされている場合もあります。
たとえば……
・危険物取扱者
危険物取扱者は、甲種(コウシュ)、乙種(オツシュ)、丙種(ヘイシュ)という3種類に分けられ、扱えるモノがそれぞれことなります。危険物というと馴染みのない印象があるかと思いますが、タンクローリーの運転手や石油メーカー、化学メーカーなど、さまざまな企業で活かすことができます。
・施工管理技術者
建設工事が盛んに行なわれている昨今、施工管理が特に求められているといっても過言ではありません。建物の品質を守ることはもちろん、工事の安全面をチェックする重要な役割を担っている施工管理。資格がなくても、仕事ができる反面、保有していると会社から資格手当をもらえたり、年収アップに繋がったりします。建築施工管理、電気工事施工管理、土木施工管理など、手掛ける工事の種類によって、施工管理技術者の中でも資格が異なっています。
・建築士
建物を建てるための設計図を作成することができる資格です。1級・2級があり、設計できる建物の大きさが異なります。魅力的な建物をデザインすることはもちろんですが、建築学に基づいた建物の構造や計算などが求められるため、数学や物理の基礎知識が必要です。建築士の道は、なかなか険しいのが現実。資格を持っていたとしても、手掛けたい建物の設計ができるとは限りません。まずは資格を取得し、基礎知識を身につけていることを証明しましょう。
・環境計量士
化学分析を行なう企業で、環境に関する計量に携わるために必要な資格です。中でも、環境計量士は、工場から排出される排水やばい煙、大気中の有害物質を測定するとともに、計量管理を手掛けます。その他にも、騒音や振動に関する調査も実施。環境問題に注目が集まる近年では、とても重宝される資格となっています。
・インテリアコーディネーター
部屋全体のインテリアを考えるだけではなく、建築の構造などの知識を駆使して、間取りなども意見できるようになります。インテリアコーディネーターの仕事は資格がなくても、就業可能です。しかし、募集はけっして多くなく、さらに人気の職種。資格を持っていることで、ライバルよりも一歩リードできるはずです。
■営業職
法人営業、海外営業、不動産営業、金融営業……。「営業職」と一言にいっても、取り扱う商材やどんな顧客を相手にするかによって、さまざまな種類があります。資格がなくても歓迎している求人がほとんど。とはいえ、取得していることで、周りより一歩リードすることが可能です。
たとえば……
・中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を解決するためのアドバイスを行なう専門家。国家資格として認められています。中小企業と行政・金融機関を繋ぐ役割を担っているため、金融系の営業職はもちろん、人材系営業職や経営コンサルタントでも重宝される資格です。
・TOEIC
メーカーや商社、外資系企業では英語力を必要とする場面が多々あります。その他にも、近年は、海外展開を積極的に行なっている企業が多いため、持っていて損はない資格です。一般的には、TOEIC600点以上が目安です。
・ファイナンシャル・プランナー(FP)
家族構成、収入・支出の構成、資産、負債、保険……など、あらゆるデータをもとに、個人の資金計画を立てることをファイナンシャル・プランニングといいます。これを手掛けられるスキルを証明した資格です。金融系の営業職だけではなく、不動産系の営業職などでも活かすことが可能。個人に対して、大きな金額の商品を販売する際には、活かせる機会が多いと思います。
・宅地建物取引士
不動産の契約をする際に必要な資格です。主に、不動産関連の仕事で役に立ちます。営業職の場合、持っていなくてもスタート可能です。しかしながら、資格手当として月3万円を用意している企業が多く、月収アップに繋がるので、持っていて損はないでしょう。また、不動産関連の事務職にも転職を有利に働くはずです。
■事務職・管理部門職
オフィスの中で、社員や会社運営を支えるポジション。採用数は営業職などと比較すると、少なく、希望する人が多い人気のある職種です。だからこそ、未経験募集であったとしても、アピールできる専門資格があれば、心強いでしょう。
たとえば……
・日商簿記
全国的に知名度が高い資格で、会計士や税理士を目指す人にとっての登竜門として知られています。経理や財務、一般事務など活かせるフィールドはとても広い資格です。経理職募集においては、「実務経験がなくても、簿記の資格を持っていてほしい」「簿記の資格を勉強したことがある人がいい」という企業からの声が多くあります。勉強しておいて、損はないでしょう。
・社会保険労務士
企業が人を雇用するうえで欠かせない社会保険制度に関するスペシャリストです。社会保険の加入手続はもちろん、労働保険料の計算、労動規約の作成など、さまざまな業務を従業員が安心して働けるよう、さまざまな面からサポートします。
・メンタルヘルス・マネジメント
近年、労働者のストレスがニュースになっていることで注目を集めている資格です。企業は労働者に対して、ストレスチェックの実施が義務化されています。いち早く異変に気づき、適切な対応ができるような職場づくりを務めています。
・貿易実務
貿易の自由化が進む中で、これから先も、貿易は活性化されると予測されています。そんな中で、国ごとに異なる法律や関税の仕組みなど、貿易事務のエキスパートが求められています。定型業務をこなすために必要な知識があると証明できる資格であるため、事務職からのキャリアアップを目指したい方に、おすすめです。
・医療事務
病院でかかった治療費を集計し、国や患者に請求する業務を医療事務といいます。この仕事は、資格がなくても就業可能。実際に、無資格の未経験者を歓迎する求人も、数多くあります。しかしながら、未経験からはじめられる医療事務は人気職。応募が殺到する中で、資格を持っていることで「独学で勉強した」という意欲を示すことができます。十分に転職を有利にさせる資格だと思います。
・秘書検定
会社の役員や経営者の秘書としてのスキルについて知識を問われる試験です。それだけではなく、一般常識やビジネスマナーなど、社会で必要とされる問題も出題されます。秘書として活躍することはもちろん、どんな職種においてもビジネスマナーを身につけているという評価を得られるため、役に立つ資格だといえるでしょう。