私がものごころ付く頃には父が闘病生活を送っており、約１０年間の闘病の末に他界しました。
幼少期にずっと病気と闘う父の姿や、それを支える母の姿を見て育ちました。
そんな経験から生きる質について深く考えるようになり、健康で生き生きと人生を楽しむことが大切だという信条を持つようになりました。

よく母や祖母からは「感謝しなさい」と言われていましたが、子どもの頃は何に感謝すれば良いのかよくわかりませんでした。
大人になってから理解できたことですが、私たち家族は、両親の交流のあった人たちや親戚など、本当に多くの方々に支えられていましたし、父が務めていた会社や行政にも守られていたはずです。


父の病気のこともあって、医療の道に進みたいと自然に思うようになり、高校卒業後すぐに整骨院に弟子入りという形で社会に出てから２年が経過しようとしていた頃、ある日突然、身体に異変が現れ始めました。
手や顔が小刻みに震え、激しい動きをしたわけでもないのに動悸や息切れを感じ、どんどん集中力が低下していったのです。

始めのうちは、手や顔の震えは意識することで止めることが出来ていましたが、段々それも難しくなり仕事に支障を来たすようになってしまいました。自分なりに症状から原因を調べてみると「小脳梗塞の疑いがある」ということがわかりました。小脳梗塞の疑いがあるということがわかると、益々その症状は悪化し、私自身は死の恐怖まで感じるようになっていました。そんな状態になってから、ようやく病院で検査をすることにしましたが、結果はどこにも異常はなく、精神的ストレスからくるものだろうと抗うつ剤を処方されました。しかし、抗うつ剤を飲んでも「なんとなくマシなのかな？」というくらいで、治る気は全くしませんでした。

自分自身でも職場での精神的ストレスが大きいということは理解できていました。症状がどんどん悪化し、もう限界だと感じて辞職願を出しに行こうとしたときに、事件が起きました。


たまたまストレスの原因となっている先輩にバッタリ出会い、普段そこにいるはずのない時間に私がいることを不思議に思った先輩が私を問い詰めてきました。私はもう限界ギリギリでしたので、それまで我慢して言えなかったことを号泣しながらその先輩に伝えたのです。すると、予想に反して先輩は私の言い分をすんなりと受け入れてくれて、それまで私がひとりで「どうせ言ってもわかってもらえない」と我慢していただけなんだとわかりました。

限界を超えて爆発したことでガス抜きが出来たことと、私が嫌だと感じていることを先輩が理解してくれて「もうしない」と約束してくれたことで、その翌日からそれまで悩んでいた症状が完全に消失したのです。


そんなことがあってから、心と身体が繋がっているということを身をもって理解し、身体だけを見ていても気づけないことがたくさんあるという意識で、日々の仕事（当時は整骨院スタッフ）に向き合うようになりました。そうすると、やはり身体症状の原因が精神的ストレスである人がとても多いことに気づきました。もちろん、身体の使い方や疲労の蓄積、なにかにぶつかったなど外的な要因も含まれていることがほとんどですが、精神的ストレスが占める割合がとても多いと感じています。私自身が身をもって体験したからこそ理解できるし、精神的ストレスから身体症状を発症して悩んでいる人たちのサポートをさせてもらいたいと思っています。


また、私自身も自分の心や体の声を無視して頑張り過ぎるということはしないようにしています。自分自身の健康のこともそうですが、私が元気に楽しく生きることで私の妻や息子たち、私の母や天国の父も安心してくれると思っています。きっと誰でも経験があると思いますが、しんどそうな人の近くにいると自分までしんどくなってくるし、イライラしている人の近くにいれば自分までイライラしてきます。その逆に、元気な人の近くにいればなんだか元気を分けてもらえたような気になってくるということも経験があると思います。


私は「元気いっぱい！」というキャラではありませんが、いつも自然体で無理なく自分のペースで人生を楽しみたいと思っています。そして今もし無理をしてしんどい人がいるのなら、そんな人たちに無理せず自分のペースで人生を楽しむエネルギーを伝えていければいいなと思っています。