注意力が低下すると、それまで普通にできていたことでも間違いが増えたり、時間がかかったりします。たとえば、暗算が苦手になったり、テレビの中の会話についていけなくなったりします。音楽やテレビなどの音があるだけで食事に集中できなくなることもあります。
健常な人でも年齢を重ねるほどに物忘れが多くなりますが、何か小さなきっかけがあれば思い出すことができます。しかし、認知症の記憶障害では数分前に見聞きしたことや自分がした行動さえ思い出せなくなります。 症状が進行するにつれ、以前は覚えていたはずの記憶も欠損していきます。
私たちは目で見た情報を脳の中で分析して方向、距離、位置などを把握しますが、こうしたことができなくなる状態を視空間認知障害と呼びます。よく知った家の近所で迷う、昔から住んでいる家のなかで迷う、トイレの場所がわからない等はこの障害による可能性があります。
計算力が衰えてくると、買い物をしても出すお金やおつりの計算が難しくなったり、家計簿をつけるのが難しくなります。小学生で習うような簡単な計算にも時間がかかるようになったら注意が必要です。
言語力が落ちてくると、言葉を話す、話を理解する、文字を書く、文字を理解する、といったことが困難になる「失語」を招くことがあります。
言語力が落ちてくると、言葉を話す、話を理解する、文字を書く、文字を理解する、といったことが困難になる「失語」を招くことがあります。
認知症の予防、早期診断、治療、リハビリテーションなど認知症に関する数多くの研究と実践に精力的に取り組んできた。日本認知症学会、日本介護予防・健康づくり学会、日本老年薬学会、日本高齢者ケアリング学研究会、日本認知症予防学会など認知症に関わる多くの学会で役員を務め指導的な立場を担っている。