ずっとモテてきませんでした。
私は若いころから恋愛で前に出るほうでなく、実践よりは妄想で満足するタイプ。
また、妄想から実践に踏み出すにはとてつもなく長い時間を要したので、ちょっと「いいな」と思う人がいても、私がアタックを試みるころにはすでに彼女がいたりしました。
だからといって心のペースは変えられず、逆に妄想を紡ぐ速さは増すばかり。
そのせいか、一般人よりもジャニーズが好きで、まるでふんころがしのように妄想を転がしまくっては、日々悦に入っておったのです。
その間、奇特にもパートナーになってくれた人もいましたが、私が肥え太らせた妄想の玉につぶされ、あえなく離別。申し訳ないことをしたものです。
気づけば、私は35歳。相変わらず元気にふんを転がし、「いい年してジャニーズとか追っかけてる女」と指さされても、むしろほめ言葉に思えるほど図太くなっていました。
そう、いつしか私は、立派な〝戦力外女子〟になっていたのです。
戦力外女子とは、〝男の結婚欲をかき立てない、できあがってる大人女性〟を指します。
年のころは30半ば以上。婚活市場ではめっきりご指名が減り、口の悪い人には「崖っぷちだね」などとからかわれ、合コンに呼ばれても姐さん扱い。ライフスタイルも確立しており、「このまま一生ひとりかも」なんて思っている。さらに残念なことに、たとえ女らしい見た目でも中身は野郎気質。男ウケより、つい〝自分ウケ〟を優先する人たちです。
男性にしたら、「ハタチのピチピチ女子がスーパールーキーなら、まぁアナタは戦力外ですね……」的に見なされる立ち位置。でも、本人まったく気にしてない、と。
さて、ある日私が絶好調でふんを転がしていると、誰かが背中を押してくれました。
なんだ? どうした? と振り向くと、10歳も下の男子が「うんしょ、うんしょ」と手伝ってくれているじゃないですか。ほぇ~?
後述しますが、この男子こそは後に私と添うことになるユース。運命の年下男子です。
私は彼と結婚し、今年で13年になりました。
戦力外女子とユースの結婚ですから、そりゃもういろいろあったのです。
ですが、新婚ラリラリのノロケ話を書いたところで、あまり参考にはなりません。
干支のひとめぐり(12年)にもう1年のっけて、13年経っても楽しく生きていたら、そのときは年下の彼に恋する人のための本を書こう。そう思ってしたためたのが本書です。
私が結婚してから今日まで、恋愛界もだいぶ様変わりしたように思います。
SNSの発達もあってか出会いのバリエーションが広がり、年齢差のあるカップルも増えました。私のようにただでさえモテないのに、年下に恋して困っている方も、だいぶ増えたと思うのです。あなたの手を、そっととりたい。
もう一度言いますが、私はモテない戦力外女子の先鋒です。
これが神崎恵さんとか女子力魔神のような方であるなら、年上だろうが年下だろうが、赤子の手をひねるようなものだと思います。でも、こういうレジェンドにのみ許された術(すべ)を、自分もやれると思ってはいかんのです。
女子力魔神がモエのシャンパンなら、戦力外女子は下町のナポレオン。
戦力外女子ならではのズッコケ戦術、ご覧いただけましたら幸いです。
(第1章「戦力外女子と年下男子」より)