岡山県の桃太郎伝説


1.はじめに
 日本人なら誰でも知っている桃太郎、これの元となった話があることを知っていますか?元となった話は日本各地に点在し、香川県や愛知県、奈良県などにあります。その中に岡山県もあり、2017年5月24日に日本遺産として岡山県内の4市が合同で登録されました。これは、日本が岡山県を桃太郎伝説の発祥地として認めてといっても過言ではないでしょう。これからその岡山に伝わる桃太郎伝説について、語っていきたいと思います。
2.温羅伝説の登場人物
 岡山県に伝わる桃太郎伝説の元となった話は、温羅伝説(うらでんせつ)という話です。その話では、桃太郎のモデルとして吉備津彦命(きびつひこのみこと)、鬼のモデルとして温羅(うら)となっています。吉備津彦命は日本古代の豪族で、温羅は朝鮮半島から渡ってきた百済(くだら)の豪族です。他にも桃太郎の家来である3匹にもモデルがおり、その三人は吉備津彦命の家臣とされています。
3.温羅伝説概要
 岡山県総社市に現存している鬼ノ城に砦を築き住みついていた温羅。その温羅が人々に悪事働いていたため、大和政権が討伐軍を編成するが温羅に敗れてしまいます。何度も討伐軍送ったが、温羅を討つことができませんでした。そこで白羽の矢が立ったのが、吉備津彦命でした。当時吉備津彦命は孝霊天皇の息子の一人で、軍を率いる才能もあったためです。吉備津彦命は三人の家臣を引き連れ、吉備の中山に陣を構えました。まず、吉備津彦命は温羅に向けて矢をいりました。しかし、温羅はその矢を悉く岩で落としてしましました。そこで、吉備津彦命は一計を案じ、2本の矢を一度にいりました。1本は岩に落とされましたが、もう1本は見事に温羅の左目に命中しました。温羅は血を流しながらも雉に姿を変え逃げました。吉備津彦命は鷹となりそれを追いました。次に温羅は鯉に化けて血吸川に逃げました。しかし、吉備津彦命は鵜となりその鯉を食いあげました。この激戦を経て、吉備津彦命は見事に温羅を退治することとなった。その後、温羅は首をはねられ長い間首をさらされました。温羅の首は野犬に食い散らかされた後、地中深くに埋められることとなりました。しかし、温羅の埋められた場所の周囲で、夜な夜な奇妙なうなり声が聞こえると報告されました。その報告から幾日か過ぎた頃、温羅が吉備津彦命の夢枕に立ちこう言ったのです。これまでしてきた悪事について償いをしたいと。その方法とは、吉兆を釜をうならすことで知らせるというものでした。その話から、温羅が埋められた場所の真上に釜殿(かまどの)を設け祀ることとなりました。その結果ようやくうなり声が聞こえなくなったと言われています。これが吉備津神社で毎年行われている鳴釜神事(なるかましんじ)の起こりとなっています。
4.もう一つの温羅伝説
 温羅伝説は多く伝承として残されています。3で紹介した温羅伝説とは別のもう一つの温羅伝説についてはなしていきたいと思います。
 鬼ノ城には、2メートルを超える大男の温羅が住んでいました。しかし、温羅は朝鮮から渡ってきたため言葉が通じず、気性が荒かったため鬼ノ城周辺の民からは鬼として恐れられる存在でした。そんな彼はある日、貢ぎ物を運んでいた者に行き先を聞きました。しかし、貢ぎ物を運んでいた者は言葉が通じないため襲われたと勘違いし、大和政権と温羅の戦いが起こってしまいました。その後の戦いは3で紹介した温羅伝説と同様の展開を繰り広げました。戦いが終結した後、温羅は吉備津彦命の家来となりました。そして、優れた製鉄技術や武力を用いて吉備津彦命に尽くし、吉備冠者(きびかんじゃ)と呼ばれることとなりました。冠者とは冠位十二階の六位の官職を持たない者のことです。
5.温羅伝説とうらじゃ
 まず、うらじゃとは岡山県で年に一度開かれる大きな催し物です。数々の団体がそれぞれ考えた踊りを踊りながら、岡山の市街地を練り歩くものです。そのうらじゃは、温羅伝説を元にして作られたとされています。現在のうらじゃの目的は、岡山の郷土や歴史に興味を持ち、多くの者が岡山のことを調べ、そして知ってほしいという理念があるのだそうです。それでは温羅伝説との関係について述べていきたいと思います。うらじゃに踊りで参加する人たちは、必ず顔に派手なメイクを施します。それを温羅化粧といい、鬼をイメージしたものと言われています。このことから、踊りを踊っている人たちは温羅になりきって待ちを練り歩いていると言うことです。

6.最後に
 今までの説明で温羅伝説について、多くのことを知っていただけたと思います。しかし、ここで紹介させていただいた事はあくまで、温羅伝説の概要に過ぎません。また、岡山県が桃太郎伝説で日本遺産になったとはいえ、他県に伝わる伝説を下に見るのではなく、より尊重していく必要があると私は考えています。温羅伝説も他県の伝説についても、独自で調べ、独自の考えを持つことで、より面白く伝説について、知っていくことができると思います。