現在、組織、医療・福祉、教育、パートナーシップなど、さまざまな分野で「対話」の必要性が求められ始めています。ヒエラルキー型の関係性やトップダウン型の指示系統など、一方向的なコミュニケーションによってうまれる現実の限界とひずみが認識されてきているからでしょう。
そして、その違和感を肌身で実感して、どうにか現場における関わり合いやコミュニケーションをより良くしようと、試行錯誤している人たちが増えていることも感じています。より人間的で、双方向的な、つながりを生み出す会話があることを信じ、変化を起こそうとする試みが広がっています。
”Words Create the World(言葉は世界をつくる)”という社会構成主義の考え方に象徴されるように、人とどのような会話をするのか、関わりあうかは、身近な関係性や世界の豊かさに影響を与えます。
コミュニケーションの仕方に現実を変える力があることに気づいたとき、変化の担い手にとって「対話」という姿勢が新たな方向性として現れているのです。
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それでは「対話」とは一体なんでしょう。
ただの会話とは何が違うのでしょう。
そして「対話」によって何がもたらされるのでしょう。
「対話」は、人々の間に「共有される意味」をうみ、一体感やつながりをもたらします。そして、人の内側にスペースをつくりだし、創造性をもたらします。このように、「対話」を通じて関係性の土壌が豊かなり、その結果としてその場から生まれる思考や行動、結果の質が変わっていくのです。(*1)
今回のダイアローグプラクティスプログラム(DPP)では、4つの対話のエッセンスを枠組みにして学びを深めます。それは Listening(聴く)/ Respecting(尊重)/ Suspending(保留)/ Voicing(声にする)の4つです。(*2)
相手の内側に響いている声を感じ取る "Listening(聴く)"
一人の人としてその人全体と関わるための "Respecting(尊重)"
いま起こっていることに気づくための "Suspending(保留)"
自分の内側にある本音を言葉にする "Voicing(声にする)"
それぞれがどこまでも奥深く、よりよい「対話」の基盤となります。
今回のプログラムでは、すでに仕事や生活の中で対話を試行錯誤している方や「対話」に心から希望を感じ、探究・実践していきたいと願う方で集まり、4つの対話のエッセンスの学びを深め、その上で実践的な対話について探求します。
そして、お互いの経験と知識、想いを持ち寄りながら、「対話」に関する新たな理解やブレイクスルーを生み出すことを目的とします。
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*1:MIT元教授のダニエルキム氏の提唱する成功循環モデル
*2:MIT組織学習センターの共同創設者ウィリアム・アイザックスが提唱する対話の基礎