山林への被害、農作物への被害も甚大ですが、人間にも大きな害があります。
高速道路へのシカの飛び出しで大きな事故につながることが起きています。
車と野生動物が関係する死亡事故を「ロードキル」と言います。
野生動物の生息域に道路が整備されたのが主な原因になります。
なかでも、シカやクマなど大型動物との衝突事故は非常に危険ですね。
場合によってはドライバーや同乗者が負傷する人身事故につながる恐れもあります。
大型動物のロードキルが多発している地域では、注意看板が出ています。
高速道路等も野生動物の生息域に建設されることも多いため、ロードキルが多発しています。
2013年にはNEXCO東日本管内の高速道路で約18,600件のロードキルが発生し、多くの動物が犠牲になっています。
最も多いのはタヌキで全体の44%を占め、次いで鳥類が27%を占めています。
一般道よりも速度が高い高速道路等では、動物との衝突や回避時に被害が大きく、深刻な事故につながる傾向があります。
もし野生動物に遭遇しても急ハンドルは避けて、ブレーキで回避できない場合は、よほどの大型動物でない限りまっすぐ衝突するしかありません。
事故件数の多いタヌキは夜行性動物なので、特に夜間から早朝は慎重に運転しましょう。
上向きライトにすると遠方でも動物の目が光って発見しやすくなるので、状況によって上向きライトを積極的に使う様にした方が良いでしょう。
特に北海道ではエゾシカとの接触事故は2010件(道内に生息するエゾシカは65万頭と推計)にものぼったと発表しました。
報告されていない接触事故も含めると、さらに多い数値になるでしょう。
成年となったエゾシカは100キロを超える体重を持つため、スピードを出した車がエゾシカと衝突したら車自体はもちろん車に乗っている人にも大きな被害を受けます。
しかも、シカは群れで行動する習性があるため、複数のシカと衝突する危険性もあります。
もしそうなったら、車は大破しますし、車に乗っていた人はむちうち症状の発症などが起こる可能性があります。
さらに心配なのは、シカを避けようとしてガードレールや電柱にぶつかったり、崖から転落したりする事故が発生することです。
そうなったら命にかかわる事故へと発展するおそれもあります。
シカの繁殖期は10~12月です。この時期はシカの行動範囲が広がり道路横断などの移動も多くなりますから、とくにシカとの衝突事故に注意が必要です。
シカとの衝突事故は、車が大破するかどうかに関わらず避けたいものです。