PCR検査とは?
PCR検査とはポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略で、ウイルスの遺伝子を増幅させて検出する方法です。鼻や咽頭をぬぐって細胞を採取して検査を行います。発症から9日以内であれば唾液からの検査も可能です。
ウイルスが下気道にいることが多いため、痰がからむなどの症状が見られている方には痰を検体にして検査を行います。PCR検査は新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いられており、この検査で陽性判定が出た場合には新型コロナウイルスに感染しているということになります。新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知るためのPCR検査は3月より保険適用となっています。
抗原検査とは?
抗原検査とはウイルスに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断に導く検査のことを言います。PCR検査とともに、新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いることができます。そのため新型コロナウイルス感染症と思われる症状が発症した方でも、発症2日目~9日目の間にこの検査で陰性となった場合には、その時点では新型コロナウイルス感染症ではないと言い切ることができます。
新型コロナウイルスの抗原検査をするキットは30分ほどと非常に最短で検査ができること、特別な検査機器を使わずに検査ができるというメリットがあります。ですが、診断をつけるためには一定のウイルス量が必要となるため、PCR検査では陽性となったものの無症状の方や、新型コロナウイルス感染症に無症状で感染している方がいるかどうかのスクリーン検査の用途では使うことができません。
抗体検査とは?
抗体検査とは新型コロナウイルスに感染していたかどうかを調べる検査です。新型コロナウイルスに感染すると形成されるたんぱく質が体内にあるかどうかを調べることができます。抗体検査は新型コロナウイルスに感染後13日以降では、96.9%の陽性率ですが、感染後9~12日目の陽性率は約50%とまだ、期待されるほどの精度が出ていないことも現状です。
また、日本での検査は自費診療となっており、自身に抗体がついているかどうかの判定というよりも疫学調査のために用いられることが多くなっています。また、新型コロナウイルス感染が陰性であるという証明として抗体検査を行っている、あるいは行うことを推奨するという考え方を唱える方もいらっしゃるようですが、厚生労働省ではそのような目的での検査を推奨していません。
新型コロナウイルスの感染が疑われるときの検査の流れは?
新型コロナウイルスの感染が疑わしい時は、どこの病院に行ってもよいというわけではありません。検査を受けられる病院は限られているため、各自治体の保健所に電話で相談をして指示を受けた医療機関を受診してください。
PCR検査は鼻咽頭ぬぐい法といって、医師もしくは看護師が鼻や喉に綿棒を入れて細胞をぬぐい取って検査をしていきます。PCRの検査結果は出るまでに数時間ほどかかります。PCR検査で結果が出れば新型コロナウイルスの感染は確実です。ですが、1回PCRで陰性だったけれど明らかに新型コロナウイルスと思われる症状が出ているという方や、検査の結果を急いで知りたいという方には抗原検査も併せて行われます。抗原検査の検体もPCRと同じく医師や看護師が鼻咽頭ぬぐい法によって採取した細胞です。この細胞に専用の薬剤をかけて医師が診断をします。抗原検査はPCR法と異なり30分程度で検査結果が出ますし、PCR法のような特別な機械がいらず検査薬のみで検査できるということがポイントです。抗原検査はすぐに結果は出るものの正確性に欠けるため、抗原検査を主体的に行うということは少なく、PCR法と合わせて行い、診断を確定させるために使われます。
新型コロナウイルス感染症における検査は医療機関でしか受けることができません。