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「ジョブ理論」を活用した、日本の新事業創出の事例紹介します。
ジョブ理論のフレームワークを活用して、出張レストラン「マイシェフクイック」を立上げて運営しています。
ジョブ理論を活用する現在進行形の事例だと思いますので、その立上げ・運営について、ジョブ理論のフレームワークに照らして、当事者の立場から事例・サマリーまとめます。
(AppleやFacebook、AirbnbやUberの事例はもう聞き飽きたでしょ!?)
このシンプルな問いが、ジョブ理論。
事例説明に先立ち、マイシェフクイックが何か、簡単に説明します。
マイシェフクイックは "出張レストランサービス" です。
イタリアンやフレンチなどコース料理を、接客スタッフが持参して出張し、出張先のキッチンで仕上げて提供、キッチン後片付けまで行うサービス。4000〜5000円/1人分で、2〜10名分の注文受付しています。
レストランの接客スタッフ役が家にやってきて、配膳や後片付けをしてくれる内容であり、『レストランが自宅にやってくる』ようなサービスです。
外出・外食が困難な家族※に、ハレの日やイベントごとで利用いただいています。(※育児ママ、高齢者や障害者がいる世帯など)
また、ワイン愛好家、愛犬家、建築家や工務店など自宅が良い方、新居お披露目や職業柄外出が面倒な方(テレビ関係者や医者など)なども利用いただいています。
ハレの日とは、お食い初め,初誕生日,節句や七五三などの「子供のお祝い」、結婚記念日やパートナーの誕生日など「夫婦の記念日」、親の還暦祝い,古希祝いなど長寿祝いや金婚式など「親の記念日」など。
イベントごとは、ハロウィン,クリスマスや送別会,花見や花火大会など、季節や世の中的なイベントやはもちろん、月齢近いママ友とのママ1歳おめでとう会、夏休みお疲れ会、PTAの行事の打上げ、妹夫妻の海外からの一時帰国、新居のお披露目など、内輪・身内のちょっとしたイベントなども。
複数の顧客層・シーン(シチュエーション)がありますが、とある3つの具体例(顧客・文脈・状況)を用いて事例説明します。
1:生後30日の赤ちゃんがいる夫婦。お宮参りで両方の両親も家に来る。
2:赤ちゃんが生まれて初めての結婚記念日を迎える夫婦。
3:子供が2歳のママ、近所のママ友との子供の合同誕生会。
これらは世間一般には「育児ママ」と括られますが、より詳細で具体的な文脈・状況で分けて捉えています。
ちなみに書籍「ジョブ理論」の中では、顧客の定義にあまり触れられていませんでしたが、ジョブ理論のフレームワークの前提として、顧客の定義はかなり重要なように思います。
この3つの例にて、顧客が片付けたいジョブは次のようなものです。
1:お宮参り後の食事
お宮参り後の食事は、両親も来るしゆっくり祝いたい。
個室ある和食店はご馳走でゆったりだけど、店まで移動が手間だし、長時間の外出は赤ちゃんへの負担が大きいので避けたい。自宅なら安心だけど、料理を自分で作るのは無理。仕出し弁当でもいいけど、高い割に結局弁当だから味気ない。
2:結婚記念日
結婚記念日だから夫婦で祝いたい(去年まではフレンチレストランなどで祝った、まだ子供いなかった)。
でも赤ちゃんがいるから、レストランに行ける気がしないし、泣いたりウンチしたら お祝いどころでないから行きたいとも思わない。
でも、結婚記念日だし祝いたいけど、どうしよう。
3:ママ友と子供の合同誕生会
普段のママ会は近所のカラオケ(子供が泣いても叫んでも走り回ってもOK)だけど、誕生会だし、ちょっとお祝い感が欲しい。
ただ少し雰囲気良いレストランは子供が泣いたり、走りまわったら困るからNG。ママ友の家は安心だけど、出前では味気ないし、料理持ち寄りは 家を貸してくれるママに負担が偏るので気にかかる(取分け皿出したり、料理切ったり温めたり、後片付けしたり)。
それぞれの状況は、過去10年20年30年にわたり存在しているものです。
しかし、なぜ進歩しなかったか。
「競合サービスは」何ですか?とよく質問されますが、具体的な単一の競合サービスがあるというわけではありません。
ジョブを不満足に解決するサービスや、現在の主たる選択肢を解雇してもらい、マイシェフクイックを雇用してもらうこと。諦めや無消費を解雇してもらい、マイシェフクイックを雇用してもらうこと。
これらが当社の競合であり、新サービスとしてやらなければならないことです。
1 お宮参り の競争相手
個室のある和食店、仕出し弁当や出前寿司です。奥さんの超頑張りや、奥さんの母親の手料理も競争相手です。
2 結婚記念日 の競争相手
「結婚記念日だから祝いたいけど、赤ちゃんいるから今年は無理だね」という無消費であり、諦めが競争相手です。
3 ママ友との合同誕生会
結局いつものカラオケ、つまりジョブを不満足に片付け、新たに何も雇用せず、いつもと同じ方法での対応を選ぶことが、競争相手です。
1、2、3では、取り除くべき障害や、感情的・社会的な障壁は当然異なります。
上述の具体的なジョブは、当初はほぼわかっていませんでした。
実際にサービスを販売・提供し、顧客の利用シーンの観察を繰り返す中で、徐々にわかってきました。
サービスを開始した頃は「多分きっと、これは有望っぽい鉱脈だろう」というあやふやな状態でしたが、実際の顧客の様子を観察して文脈の理解に努め、社会的・感情的な側面も掘り下げていきました。
例えば、1 お宮参り後の食事にて、顧客がマイシェフクイックを雇用しようか検討する際の典型的な心理的な障害は「家の台所は狭いが大丈夫だろうか」「家の食器で足りるだろうか/見栄えが良くない」「期待はずれの料理・サービスだったらどうしよう」「義両親(特に姑)はどう思うだろうか」「本来私がやるべきことを、金で解決するとはなんてダメな母親なんだ(自己嫌悪や罪悪感)」など。
このような障害を取り除くために、やるべき施策はまだまだ沢山あります。機能的な障害を取り除くための施策は比較的容易かつ単純です。
一方、感情的な障害を取り除いたり緩和したり、責任転嫁や罪悪感を感じずに済む言い訳作りのための施策は、かなり複雑で難易度が高いです。
当社の顧客は女性が中心で、いろいろ伺っても本音を言ってくれることは滅多にありません。
頼んでもないのに持論をドヤ顔で語る男性とは異なり、状況観察に長けて細やかな配慮と周囲の関係性を潜在意識下で重視する女性は、直接的にヒアリングをしても、ほぼ本音を言ってくれることはありません。仮に、本音を言ってくれたとしても、どの部分は本音でどの部分は違うのか、正直なところ判別ができません。
顧客の状況や苦労や心情的な障壁を理解するのに、最も役に立ったのは仮説検証を意識した顧客層の方との雑談と、実際の現場の観察です。これまでに数百の現場は観察したと思います。
「ジョブ理論」を活用した、新規事業の事例として、マイシェフクイックについて書きました。
私の書いたことが正しいかどうかは、正直なところ、どうでもよいことです。
このような考え方に基づき立上げ・提供するマイシェフクイックが、果たして顧客のジョブをうまく片付けており、マイシェフクイックが継続して顧客が雇用しようと思い、継続して顧客に雇用され続けるかどうか、その結果事業が伸びるか、それが何より大事です。
このブログエントリーをここまで読んだあたなも、ぜひマイシェフクイックを使ってみて、ご自身の目で確かめてみてください。
マイシェフクイックの主顧客や利用シーンは、外出・外食が困難な家族の、ハレの日やイベントごと。
ワイン愛好家、愛犬家、建築家や工務店など自宅が良い方や、新居お披露目や職業柄外出が面倒な方。
くれぐれもこの状況にフィットしない方・シーンで使ってしまい、的外れな感想を抱かないよう、マイシェフクイックの主顧客・主利用シーンにてご利用くださいね。
(フィットしない方・シーンで使うと、家で本格料理が食べてれ、まあ美味しかったね、程度の感想になる可能性が高いと思います。使っていただければ、もちろん嬉しいのですけどもね。)