クリーン言語と煎茶道黄檗売茶流の世界 2019年11月16日(土曜日)開催
於:清澄庭園、東京

*共同イベント*
カイ・ディビス・リン
高橋凜仙(煎茶道黄檗売茶流教授・準師範) 
泉圭子(クリーン言語とEK, ディビッド・グロブ&カイ・ディビス・リンセミナー日本支部)



パーソナル・ジャーニー

日常生活の空間とは異なった空間における
パーソナルなナラティブの旅

日本の煎茶道の創始期において、煎茶席とは香り高い煎茶を味わいつつ、茶人・客人が文化論を交わし、時には絵筆を持つという風雅な世界を形成していました。自由で自然主義的な風情は多くの文人たちの心を引きつけて発展を遂げていきます。そして、徐々に集まる客人が自らの人生論を語り、人生の指針を得る「場」としての機能も併せもつようになっていったのです。その「場」において、茶人は「相応の問い」を客人に与え、その「問い」は客人の心の深みに届き、深い洞察から変容へ、そして自己創出へと導いた、と考えられます。

クリーン言語のプロセスにおいても、クライアントさんの世界観に共鳴しつつ、的確で簡潔な「問い」をクライアントさんに投げかけることで、クライアントさん自身のナラティヴ(物語り)が展開します。そして、クライアントさんの中からご自分自身のさらなる発見・洞察が、自然に生じてきます。そのプロセスの中で、セッション当初に提起された問題が解消し、あらたな自己発見が生まれてくるのです。

つまり、煎茶道の伝統でもクリーン言語でも、プロセスの中で、クライアントさんの内側の深みに達し、その人の人生への指針・洞察を促するパーソナルなナラティヴが展開されるのです。そして、お煎茶席もクリーン言語のプロセスでも、その心の深みから現れるのは、自分の理解や認知を超えた、まるで異次元空間のような世界が生まれてきます。

そのようなお茶席の「場」でクリーン言語のセッションを進めるこのイベントは、お客人はもとよりご覧いただく皆様にとって、私たち一人一人の中にこのような深い知恵や洞察が潜んでいること、パーソナルなナラティヴがいかにエレガントで美しいか、ということを十分に共鳴していただけるでしょう。


クリーン言語(David Grove`s Clean Language)について

—ディビッド・グロブが創始してパートナーのカイ・ディビス・リンと共同開発したディビッド・グロブの
Clean Languageは、日本では「クリーン言語」として紹介され、教えられています。—

メタファーとナラティブのカウンセリング・コーチングのアプローチ

クリーン言語のホームページはこちら。

クリーン言語 (Clean Language)は、ニュージーランド生まれのカウンセリング心理士、ディビッド・グロブ(David J. Grove)(1950年—2008年1月)が1970年末に創始したカウンセリング・コーチングのアプローチです。ディビッドは、クライアントさんの体験を解釈することなく、改変することなくそのまま保持し、セッションのプロセスの中でクライアントさんの症状・感情が自然に変容していくために何が必要かを探求しました。

後にディビッドのパートナーとなるカイ・ディビス・リンも、当時、英国ノースハンプトン州聖アンドリュー病院の上級心理士でしたが、ディビッドと同じテーマで研究をしていました。1980年初頭に二人が共通の同僚・友人に紹介されて以降、二人はクリーン言語を共同で開発していきました。また、言葉を用いるクリーン言語と共に、スペースを活用するクリーン・スペース、イマージェント・ノレッジ(知識の発生)、クリーン・スケイプ(例:タイム・シグニチャー、I, Myself, Me, Youという人称代名詞を用いたプロナウン・スケイプ等)という手法も開発しました。

クリーン言語は、米国・英国の幾つかの大学ではカウンセリング学部の履修科目として教えられており、ディビッドは欧米の大学に招待されて講義、シンポジウムで教えました。1990年代には、米国ミズーリー州の広大な自然の中に「エルドン治療センター」(Eldon Retreat Center)を開設し、トラウマ治療、カウンセリング、トレーニング、ワークショップを行いました。

クリーン言語は、セッションのプロセスの過程で、目標達成への糸口、問題解消、または問題解消への深い洞察が、クライアントさんの中から自然に生まれるように考案されたアプローチです。臨床心理の現場では、特に認知療法では解消しなかった症状の解消やトラウマ治療に効果を発揮してきました。

クリーン言語のプロセスの特徴としては、クライアントさんの感情や思考の言葉からパーソナルなメタファー(心理的表象、心理的イメジェリー)を導き、そのメタファーのナラティヴを展開していきます。パーソナルなメタファーとは、その人独自のユニークな体験をぴったりそのまま代表しているメタファー(心理的イメジェリー)で、認識論の枠組みを用いて導きます。

例えば、私たちが「ストレスがあります。」と自分の体験を語る時、私たち一人一人、ストレスがある、をどのように体験しているかは異なってきます。「ストレスがあります。」は、ある人にとっては「重い岩が背中に乗っかっているよう」かもしれません。そして、また別の人にとっては、「顔の周りに雲が渦巻いているよう」かもしれません。また、「とてもクリエイティブな感じです。」という体験も、ある人にとっては、自分がクリエイティブな時、それは、「飛び石がぴょんぴょん水面を飛んでいるよう」かもしれませんし、別の人にとっては、「深く根を張った木がすくすく伸びていくよう」かもしれません。 このように、「ストレス」「クリエイティブ」という私たち一般に用いている言葉も、一人一人の体験に即したパーソナルな心理的イメジェリーで、その体験を的確に把握することができます。

クリーン言語のコーチングまたはカウンセリングのセッションでは、クライアントさんから出される情報(言葉、イメージ)を基にしてプロセスを進めていきます。プロセスを進行させる技法は1980年代には確立されました。プロセスでは15個くらいの一連の簡潔な問いが考案されています。

セッションのプロセスでは、クライアントの言葉をそのまま繰り返し、その時に適切なある特殊な問いを投げかけて、クライアントの答えを受け、さらに繰り返し、問いを投げかけてプロセスを進めていきます。クライアントの言葉を繰り返すことで、クライアントの世界観に共鳴した場を形成していきます。そのプロセスで、クライアントの体験を表現するパーソナルなメタファー(心理的イメジェリー)を導き、その物語りを展開していきます。その中で、クライアントさんは今までの自分の物語りが変容し、メタファーを通して新たなナラティヴ(物語り)が生まれることを体験していきます。クライアントさんは、今までは意識の中では接することのなかった自分の中の知恵・知にアクセスし、その中から新しいナラティヴ(物語り)を形作っていきます。

往往にして、クライアントさんは、コーチングのセッションに於いても、ナラティヴが自分が予想もしていなかった展開となり、体が軽くなった、とかエネルギーが湧いてきた、とか、問題がいつの間にか解消していった、という感想をお話しになります。また、クライアントさんが展開されたナラティヴ(物語り)の中で、美しいシメトリーが現れることがあります。

このプロセスを展開するための技法は1980年代に確立されています。クリーン言語(Clean Language)の技法も一連の質問も、1980年代にディビッド・グロブとカイ・ディビス・リンの共同活動の中で開発・完成されました。

クリーン言語は、元々は、臨床心理の現場より開発されたカウンセリングの手法ですが、コーチングやクリーン・ペアレンティング等にも活用されています。日本では、2018年以降、カイ・ディビス・リンと日本で唯一のディビッドの直弟子である泉よりトレーニングを受けた「クリーン言語テクニシャン」が、次々と生まれています。

さらにクリーン言語についてお知りになりたい方は
クリーン言語の紹介の本、クリーン言語のセッションDVDが作成中です。
  
クリーン言語のホームページはこちら。

ディビッド・グロブについてはこちら。

カイ・ディビス・リンについてはこちら。

Youtubeのカイ・ディビス・リンへのインタビューはこちら。

*上記のキーワードをクリックしていただくと、それぞれのページをご覧いただけます*


黄檗売茶流について

煎茶道 黄檗売茶流は、黄檗僧の茶礼を元に形式化、普く大衆に広めることを目的として、通仙庵巽堂(1908~1958)により創流、家元制度をとり免状を発行して参った流派です。現在は通仙庵孝典宗匠のもと一般社団法人黄檗売茶流として活動をしております。
https://sencha-oubakubaisa.jp/

古来より、朝茶は福が増す、朝茶は七里帰っても飲め、ということわざもあるように、お茶は日本人の生活には非常に馴染み深いものですが、煎茶道の作法によって淹れられたお茶を飲んだことのある方はそう多くはいらっしゃらないかもしれません。どのような違いがあるのか?お煎茶通だった夏目漱石が、茶事「煎茶」を微細に、そして体感豊かに描いた一節が「草枕」にあります。

「濃く甘く、湯加減に出た重い露を、舌の先へ一しずく宛(ずつ)落として味わってみるのは閑人適意の韻事である。普通の人は茶を飲むものと心得て居るが、あれは間違だ。舌頭へぽたりと載せて、清いものが四方へ散れば咽喉へ下るべき液はほとんどない。只馥郁たる匂いが食堂から胃の中へ沁み渡るのみである。」(夏目漱石・草枕)

また、煎茶道は自由な精神や風流を重んじており、自然を愛で、文化を論じ、人生を語る問答、会話を通し自己を創出していくことにも大きな意味を見出していました。
煎茶道の祖「売茶翁」が書き残した『対客言志』には、自身の人生観について仮想の客人との問答を想定したものが書き残されていることからも、その重要性は伺えます。そうした「売茶翁の煎茶席」だからこそ、伊藤若冲を筆頭とする名だたる画家や文人墨客がその「場」から多く生み出されたのであろう、と考えられます。

 当然、煎茶道のお手前にも形があります。お手前の形は茶人の所作により形成されます。

ここに当流派の通仙庵孝典宗匠の言葉を「通仙庵雑記」よりご紹介致します。
「~もう一つ、お茶の味以上と言っても過言ではないこだわりがございます。
それはお手前の形です。ここで努力を惜しむべきではありません。
お手前こそが我々のお茶に対する態度だからです。」

「~人の生き方は十人十色。他人が口を挟めるものではありません。
しかし、人の生きる形はお茶を淹れる形を通して学ぶことができるというのが私共の考えです。」

「煎茶道 黄檗売茶流」は、「煎茶道の祖・売茶翁」の高い精神性と個々人の人生の学びという物語を創出する、その志を受け継ぎ、日本の伝統文化の美意識を世界へ広げていきたいと願っています。

売茶翁

茶道のひとつである煎茶道は売茶翁を祖としています。煎茶道は型や物よりも自由な精神を重んじ、お茶を味わいながら人との対話や書画を楽しむことに重きを置いています。黄檗宗の僧侶であった売茶翁は、後年、権力や俗へと傾いていく当時の禅の世界を憂い、自らその身分を捨ててお茶を売って歩く道を選び、京都の景勝地に自在に茶店を設けました。

「一椀のお茶をより美味しく、より楽しく味わえるように、そしてそのお茶を通じてお互いの心を大切に」。尊きにも賤しきにも茶代のあるなしを問わず茶を点じて飲ませる、その茶席での会話は往往にして自然を愛で、人生を語る、という趣を帯びていきました。そうした商売を当時は卑しいものと思われていたそうですが、売茶翁のその深い精神性がいつしか評判となり、名だたる文人墨客も通い詰め、文化サロンさながらの場になっていったのです。


~~売茶翁と伊藤若冲~~

伊藤若冲は京で野菜や果物を扱う青物問屋の4代目で、おのれを無芸無趣味と評していたそうですが、絵を描くことだけが好きだったとか。独特の色彩感覚を駆使して華麗な花鳥画を書く若冲は売茶翁の茶店に通い詰める禅の弟子でもありました。宝暦10年、若冲の『動植採絵)』(どうしょくさいえ)を見た売茶翁がたった一行、絵に添えた言葉。

「丹青(彩色画)の活手神妙に通ず(たんせいかっしゅのみょうかみにつうず)」。

 売茶翁は41歳年下の若冲の才能を見抜いて言葉を添え、その言葉に感動した若冲は売茶翁を魂の師と仰ぎました。売茶翁の煎茶席で人生を語る会話を通して、自己の才能を発見し、人生の指針を得た伊藤若冲。人物画は決して描かなかった若冲が唯一残した売茶翁の肖像画からは、そんな師弟の絆が感じられます。


~~当時の茶代~~

ところで、果たして当時の茶代というのはおいくら位だったのでしょう?今の時代の貨幣価値に換算するのは難しいことですが、案ずるに及ばず。売茶翁はこのように竹筒や紙に書いて茶店に提示していたと記録されています。

「茶銭は黄金百鎰(ひゃくいつ)よりは半文銭まではくれ次第。
  ただのみも勝手。ただよりはまけもうさず。」

売茶翁の人柄が偲ばれるエピソードです。


髙橋国子(茶名/髙橋凜仙)

クリーン言語テクニシャン、ライフデザインカウンセリング研究所研究員、
国家資格キャリアコンサルタント2級、
GCDFキャリアカウンセラー、日本実務能力開発協会認定コーチ
黄檗売茶流教授・準師範、緑茶インストラクター、日本茶セレクター

大手レコード会社でのアーチスト・マネージメントや宣伝部などの経験から、
個々人のポテンシャルの発見、自己創出の重要性に気づき、キャリア開発の道に進む。

カメラマン、ヘアメイクアップ・アーチスト、ミュージシャン、画家、作家、工学博士など各自の専門領域から更なる自己創出と成長を促し、パラレルに人生を生きるライフ・デザイン・コーチングを主として行っている。インターン留学する学生の出発前から帰国後、就職、その後までの全工程を長期的にフォローするカウンセリングなども行う。

水野修次郎教授が所長である「ライフデザインカウンセリング研究所」の研究員としてナラティブ・アプローチを研究。また、「クリーン言語」の創始者であるディビッド・グロブの共同開発者、カイ・デイビス・リンと日本でただ一人ディビッドの直弟子である泉圭子から学びを得て、クリーン言語テクニシャンとなる。

クライアントの願望、状況、課題に応じて必要な技法を用いながら、常にクライアントが自身をアップデートできることを意識し、人間が持つ多面的な素質、才能を、心の深みから導き出すセッションを行っている。人生でずっと抱いてきた疑問がはれた、自分自身の道が決められた、自分のやりたいことがはっきりとわかった、出来事の意味に気づけたなど、セッションにより得られる自己洞察、発見、変容、創出のプロセスが生み出すパワフルな効果に定評がある。セッションで巡り合うクライアントには、お一人お一人全く異なる固有の物語り(ナラティブ)があり、個々が放つその彩り豊かな世界に対する深い敬意と感動を日々、感じている。

また煎茶道黄檗売茶流を通じ、日本伝統文化の継承と進化に寄与すべく、自身の稽古に励むと共に、お教室やワークショップも開催する。

(個人HPは秋頃に公開予定。)

茶の葉・言の葉

茶人は一杯の茶と問いを差し上げる。

客人はそれにこたえる。

言の葉が静かに交わされる中、

急須のお湯の上に注がれる緑濃い茶の葉。

茶人の所作はその指先にまで気が行き渡っている。

言の葉はまるでその所作に導かれるかのごとく。

穏やかにゆっくりと開いた茶の葉の露、

茶碗に注ぐその瞬間に、深く豊かな香りが漂う。

その香しさに刺激を受け、自然と瞳を閉じる。
 
舌頭で味わうそのお茶の味に、思わず言の葉が溢れ出る。

互いに感じたものこそがすべて。
 
 そこに世界でたった一つの物語が生まれる。

(髙橋国子)



クリーン言語と黄檗売茶煎茶道の世界

・日時:2019年11月16日(土曜日)10時〜17時

・会場:清澄庭園、東京

・定員:50名ほど
  
・参加費:8月20日までの早割価格:¥8,000-+消費税
     8月21日以降の価格:¥10,000-+消費税

    
【プログラム概要】

ご挨拶 
開催にあたって、高橋国子と泉圭子

カイ・ディビス・リンの紹介     

<パート1>
クリーン言語の簡単な紹介 泉圭子

クリーン言語と煎茶黄檗売茶流のお茶席:
お茶席においての会話スタイルで行うクリーン言語セッション 
(カイ・ディビス・リンと高橋凛仙)

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<パート2>
クリーン言語テクニシャン達によるセッション提供
1)ご自分のストレングスをメタファーに変換してみる
2)クリーン言語のセッション

  
<パート3>
日本におけるクリーン言語の未来


ご挨拶