舞台製作まとめ

舞台(主に演劇舞台)を製作するうえでのチェック項目をまとめました。
舞台を主催したい方、作りたい方、運営したい方は是非お目通しを。

「製作」と「制作」の違い

このページは舞台「製作」を滞りなく進めるためにまとめたものです。
「製作」とは舞台を作るだけでなく商業的にも社会的にも成功するための一連の活動全てです。
一方「制作」は舞台を作って無事終了するまでの創作活動です。

このページでは制作は製作の中の1つの業務としています。
下の表に製作の様々な業務をまとめました。

舞台製作業務まとめ

業務 業務内容、作る成果物(文書、データなど)
企画

【業務内容】企画検討(タイトル、概要、キャスト、宣伝等)、予算決め、スケジュール、IP権利者やコンテンツホルダーとの契約等
【成果物】 企画書、予算案、スケジュール案、契約書等

準備

【業務内容】スタッフ編成、キャスティング、オーディション、キャスト・スタッフとの契約、ロケハンや会場の下見、稽古場探し等
【成果物】出演契約書、キャスト・所属事務所データ、オーディション受験者データ、劇場・ライブハウスデータ等

制作

【業務内容】脚本、演出、稽古、舞台監督等
【成果物】台本、舞台配置図、舞台進行表、タイムテーブル等

宣伝

【業務内容】広告、販売促進(イベント、配信)、パブリシティ、口コミ(ネットも含む)、プレスリリース、プロモーション戦略立案等
【成果物】広告文面、プレスリリース文面、プロモーション戦略計画書、宣伝企画台本等

運営

【業務内容】チケット管理、管理会計、当日運営、アンケート管理、全体管理、会議運営等
【成果物】収支報告書、月次損益推移表、当日運営チェックシート、アンケート集計結果、組織図、議事録等

物販

【業務内容】商品開発、DVD製作、配信、オンデマンド、著作者との契約等
【成果物】商品企画書、製作計画書、商品別収支表、パッケージデザイン等

IP

【業務内容】原作映像・画像受領、原作楽曲受領、原作資料受領、アドバイス受領、制作内容のチェック
【成果物】原作データ等の提供依頼書

準備

【業務内容】スタッフ編成、キャスティング、オーディション、キャスト・スタッフとの契約、ロケハンや会場の下見、稽古場探し等
【成果物】出演契約書、キャスト・所属事務所データ、オーディション受験者データ、劇場・ライブハウスデータ等

責任者を割り当てよう

上の表のとおり、舞台製作業務を大きく7つに分けています。
これらの業務ごとに責任者を割り当てると良いでしょう。
製作が並行で進みます。

それでは以下に一つひとつの業務について詳しくみていきます。
POINT
1

企画

企画は「なぜやるのか?」を明確にする業務です。
「やりたいから」とか「儲かりそうだから」とか単純な理由だけで決めてはいけません。

三方良しを基準に考えると良いでしょう。
すなわち「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の3つです。
売り手(舞台製作側)と買い手(観客)が満足し、なおかつ社会貢献できるもの・社会的意義があるものを目指します。

そのうえで見通しを立てます。
予算案を作ってシミュレートしましょう。この時点で赤字になっていれば考え直しましょう。”トントン”のようでは先が思いやられます。「毎公演100人は入るだろう」という希望的観測だけで進めてはいけません。「毎公演80人入れば赤字は免れる」「毎公演100人入れば利益が出る」「毎公演120人入れば次回も続けられる」というように複数の目標ラインを設けます。そうすることによってモチベーションを保ちやすくなりますし、万が一の出来事があっても臨機応変に対応しやすくなります。

券種(指定席や特別席)の設定や来場予想、物販など、可能な限り正確な収入の見通しを立てます。
各スタッフへの支払い、会場費、制作費など、経費も可能な限り正確に算出します。

ざっくりと、”だけど厳密に”、スケジュールを立てましょう。
公演日から逆算して、仕込み期間、稽古期間、準備期間を余裕を持たせて取ります。キャスト決定のデッドライン、会場決定のデッドライン、物販の業者依頼期限など「この日までに決めないと製作が進まない」という期限があるものも決めましょう。
情報公開日、メディア取材日など、他にももし決まっている予定があればスケジュールに書いておきましょう。

昨今、原作物の舞台が製作されることも多くなりました。
IP権利者やコンテンツホルダーとの契約も詰めておきましょう。
「権利物をどこまで使用して良いのか」「権利者がどこまで介入してくれるのか」、原作物を舞台化する場合はそういったことが業務に関わってきますので、最初のうちにきちんと決めておきましょう。連絡手段を確立することも大切です。
POINT
2

準備

舞台を作るための準備をします。

この業務のメインは「人を揃えること」です。

スタッフ・キャストこれまでのつながりを利用して、できる限り最高の人材を集めましょう。演出、脚本、照明、音響、運営(いわゆる制作さん)、演出助手などなど。
スタッフが見つからない場合は人材サービスを利用するのもよいでしょう。

キャストはなかなか理想の人が見つからないかも知れません。また単純に数が足りないというケースもあるでしょう。
そういった場合は「オーディション」を開催して探すという手段がとれます。

オーディションというと仰々しいものを考えるかも知れませんが、そんなことはありません。ざっくりいえば広く募集して面談すればいいのです。

どうやって募集するか。
劇団のホームページやSNSで募集するだけでは人は集まりません。
オーディションの専門サイトを利用するとよいでしょう。

なかでもオーディションプラスというサイトは人がとても集まります。
舞台に出たい人や芸能人になりたい人が多く見るサイトなので、重要と供給が一致しているのが大きいのでしょう。
もちろんサイトの力だけに頼るのではなく、わかりやすい募集要項や理想の人物像を書くことも大切です。
掲載無料というのも嬉しいです。
ただし、公演会場・期間が決まっていないなど具体性に乏しかったり、ワークショップを開催するだけ、劇団員を集めるだけの情報では掲載の審査に通りにくいようです。
掲載の依頼ページはこちらです。オーディション情報を掲載
POINT
3

制作

みなさん大好きなモノづくりの業務です。
演劇作品を作り込む作業。

原作モノを手がける場合、とくに脚本において注意が必要です。権利者とのこまめな打ち合わせや確認作業をしましょう。権利者側とすり合わせしながら、ストーリー案、プロット、台本と細かく段階を踏んで完成を目指してください。自分だけの判断で勝手に脚本を完成させた後、権利者からNGをくらうなんてことのないように。仕事のやり方を疑われ信頼を失う可能性もあります。

役者はそれぞれ技量が違います。稽古に参加できる日数もまちまちでしょう。技量と稽古参加日数によって配役を決定するのも一つの手です。最悪なのは稽古のドタキャン。予定がくるって作品の質の低下にも他の役者のテンションダウンにもつながります。よく聞いたりよくあったりする話だと思います。急病などやむを得ない場合はしかたありませんが、個人の都合によるドタキャンには何かしらのペナルティを与える方針を契約時に伝えておくことも必要かもしれません。

演劇に限らずチームでモノを作るときに大切なのは「作品のイメージを全員で共有すること」です。演出など作品作りの中心となる人は、稽古の段階から役者、各スタッフと意識を合わせるように務めましょう。劇場で場当たりして初めてイメージの違いが明るみになり、モメるというのは最悪です。できるだけ早い段階で問題はクリアにしておきましょう。
POINT
4

宣伝

宣伝活動はとても大切です。
お客さんが来てお金を頂けなければ、団体として次がなくなってしまいます。

宣伝の種類もさまざま。広告、役者による勧誘、販売促進活動、口コミなどがあります。

広告は情報をとにかく多くの人の目に晒すことが目的です。
舞台情報を掲載してくれるカンフェティこりっちは第一候補です。予算に合わせて検討しましょう。

折り込みチラシは舞台を見に来てる人が目にするものです。一定の効果があります。したがってわかりやすく、そして洗練されたチラシを作ることが大切です。洗練されたチラシは役者が配りやすいというメリットもあります。

効果をあまり感じないのはインターネット広告です。検索すると上に出てきたり、SNSのタイムラインに表示されたりするものです。演劇好きの人とは相性が悪いのかもしれません。ただ今後変わっていくかもしれませんので、そういう手があることも知っておいて損はありません。

大手団体でもないかぎり、役者さんによるチケット販売協力がなければ成り立ちません。チケットバックなどのインセンティブ制度を契約時に決めておいた方がよいでしょう。1回だけの思い出出演なら別ですが、たいていの役者は舞台活動は続いていきます。頑張ってきた自分の成果を見てもらうのです。団体のためだけでなく自分のためと思ってチケット販売にも注力しましょう。そしてたくさん売ったという実績は必ず次に繋がります。

販売促進活動は舞台宣伝のためのイベントを開くことです。チケットお渡し会を開催したり、ネットで宣伝番組を配信したり、さまざまな活動が考えられると思います。稽古の模様(あるいは稽古直前の様子)を生配信するなんてのも面白いかも知れませんね。

SNSは舞台宣伝と切り離せなくなりました。舞台専用のアカウントを作って随時舞台情報を発信するのは基本。稽古の様子を写真にとってアップしたり、会場までの道案内動画を掲載するのも実用的です。役者さんにも作品の意気込みや稽古の感想などを発信してもらいましょう。SNSで気をつけたいのは役者が愚痴を書き込むこと。作品作りにおいて、言葉の行き違いや感情のぶつかり合いはつきもの。SNSなどで発信する前に団体側と膝を突き合わせて話し合う、そんな風通しの良い現場を目指しましょう。
POINT
5

運営

運営は舞台製作のエンジン。
機能しなければ止まってしまいます。

スケジュールやチケット、進捗会議からアンケートまで、とにかく全体を”管理”して、淀みなく舞台製作を進めるのが仕事です。

当日運営は人手がかかりますので外部スタッフを雇うという手段もあります。

縁の下の力持ち的存在です。
POINT
6

物販

公演を事業として考えた時、物販は収入の大きな部分を占めるようになってきました。
チケット収入だけでは赤字になることがほとんどでしょう。

物販には次のようなものがあります。

・公演を記念したグッズ
 役者のサイン入りだったり、芝居に登場する小道具を商品化したものが売りやすいです。
 もし原作物(IPもの)ならIP権利者と交渉して舞台オリジナルの商品を開発にチャレンジしましょう。大きな収入源になります。

・プロマイドやチェキ
 事前に衣装付きで撮ったプロマイドを販売したり、終演後にチェキ撮影会を開いたりします。
 チェキは公演前に役者ごとの”チェキ券”を販売するのが一般的な方法です。

・チケットに特典をつける
 お土産付き、終演後役者との面会券など、チケットに付加価値をつける方法もあります。

・台本販売
 お芝居が良ければ売れます。バロメーターにもなります。

・映像販売
 公演のDVDやBDを販売します。
 固定カメラで撮影するだけなら専門スタッフはいらないかも知れませんが、複数カメラやカット割りがあるなら、専門スタッフに任せたほうがよいでしょう。
 撮影対象の公演が決まったら全員に通知することもお忘れなく。

 販売方法としては受注生産が安全です。
 希望的観測でたくさんプレスして費用が高くついたり、在庫が余ったりするのは最悪です。
 公演パンフレットに「DVD申し込み票」を挟んでおいて、希望者には公演後に支払いをしておいてもらいます。希望合計枚数が分かったらそれに合わせてプレス枚数を決めればよいのです。
POINT
7

IP

IPとはInterllectual Properyのことで知的財産権の略称です。
要は原作物です。

ゲームやアニメを舞台化することも増えてきました。ファンからの需要も高まっています。

自分たちのオリジナルでない、他所様の作品を扱うわけですから、慎重に取り計らう必要があります。

「原作のイメージを損なわないか」

ロイヤリティの支払い額をどうするかなど、金銭的な面も大切ですが、何よりも舞台化によってマイナスイメージにならないか、権利者にとってはそこが一番心配になります。

大切なのは、権利者とよく話し合いながら製作を進めていくことです。定期的に進捗を報告したり、実際に稽古現場を見てもらったりするのも一つの手です。