大手文芸誌の売れ行きはあまりよくありません。文芸誌の中には雑誌の販売数よりも、新人賞の応募数が上回るものがあります。世の中には読みたいより書きたいの気持ちが、より多くを占めてきているのは事実。この「自分で作りたい時代」だからこそ、既存のものさしでは測れない圧倒的個性の出現がありそうです。
私は文芸誌離れは起こっているが活字離れなんてものはないと考えています。ただ出版社と読者にズレ、世間と文学にズレがあるかもしれません。まだ陽の当たっていない、現代を象徴する作家さんや作品が世の中には存在しているように思います。できれば素晴らしい才能を世に送り出すきっかけになれたらと考えています。このような場からの雑草魂が、読者の心を巧みに揺さぶるのではないでしょうか。
ネットにはたくさんの文芸があふれていますが、その多さと手軽さゆえに、読んでもらっている実感が薄く、そのサイト利用者のみの同人空間のようにもなりがちです。私はあえて紙の雑誌として印刷し、大手文芸誌に負けないクオリティーの体裁を作り上げ、それを無料配布することで、誰にでも読んでもらえるきっかけを作ります。今の世の中に求められる本当の才能は、文芸の世界のフィルターを通さず、ダイレクトに読者に届けられるべきなのかもしれません。新しいチャンスが新しいムーブメント起こすと信じて、創刊するに至りました。