学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?
もちろん、そこに正解はありません。
世の中の多くのものごとと同じように。
でも、いろんな例を見聞きし、知ることができれば、悩みの渦中にいる人の不安を和らげるのにきっと役立つのではないか。
そんな思いから、このインタビュー事例集を制作しています。
その名も『雲の向こうはいつも青空』。
不登校・ひきこもりを経験した人、
その保護者、子どもたちに寄り添う人、
そして自分の学びを実践した人。
そんな7人へのインタビュー集です。
書き起こした文字数は7名合計で374,104字、録音した時間の総合計は22時間11分11秒……。
もちろん、取材にかけた時間が長ければ良い、というわけではありません。
一人ひとり、時間をかけて取材する中で出てきた、その人にしか言えない言葉。
振り返ってみての、それぞれの思い。
今になってみて改めて言える、それぞれの経験。
それらをできる限り丁寧に、話し手の経験の奥にある本当の気持ちに寄り添うように、まとめました。
申し遅れました。びーんずネットと申します。
私たち夫婦は神奈川県川崎市で、お子さんの不登校に悩んでいる親御さんを対象とした様々な活動(セミナーやイベント、出版など)をしています。
私たち自身も2013年に息子の不登校を経験した親です。
息子の不登校という予期せぬ事態を目の前にして、迷い、悩みました。
そして今、振り返ってみて思うのは、悩みの渦中にあるときに私たちが知りたかったことは、誰かのお説ごもっともなアドバイスではありませんでした。
安全地帯から無責任に同情してもらうことでもありませんでした。
私たちが本当に知りたかったのは、見えない将来の不安や迷いの中から”抜けていった人たちの事例”でした。
悩みの中にいたときに読みたかったもの、あのころ自分たちが本当に欲しかったものを作りたい。
きっとそこにヒントや安心を見出して、勇気づけられる人がいるはずだから…。
その思いからこの事例集を作っています。
ここには、明確なメッセージはありません。
具体的なアドバイスもありません。
ここにあるのは、この事例集に登場してくださった7人の、リアルで等身大の言葉と、思いです。
悩みの渦中にいる人も、そうでない人にも、きっと沢山の気づきにつながる素晴らしい言葉に出会えるはずです。
ページを繰って、ぜひあなた自身でそれを確かめてみてください。
子どもはちゃんと考えてるし、力も持ってる
保健室の先生として小学校で働いている鈴木望来さん。ご自身はかつて中2の冬休み明けから中学卒業まで学校には行けませんでした。不登校だった自分が学校という場で働けるのか、就職に際しては不安も大きかったといいます。
生きるだけで精一杯だった不登校の日々のこと。「言ってもどうにもならない」――そんな大人に対して無力感も抱えていた鈴木さんに、養護教諭を目指したきっかけや、ご自身の経験から感じていることをお聞きしました。
元不登校生に学校の先生ができるのか?……p.6
怖いし、安心できる環境じゃなかった……p.9
子どもの力を信じてほしい……p.10
たまたま不登校という選択肢が現れただけ
体外受精卵の培養・管理をする「胚培養士」を目指して研究を続けている赤野彩希さん。
教室にいると心拍数が上がりお腹が痛くなる症状が現れ始め、学校に行けなくなったのは中学1年の夏休み前のことでした。
「できれば学校に行けるようになりたい」でも体は「行けない」。学校に行けない自分への後ろめたさや罪悪感を抱えたまま、家からまったく出られない日々が続いたといいます。
そんな中、母親が教えてくれたフリースペースとの出会いが大きな転機となりました。
「なんで?」と思いながら行けなくなった……p.14
本当にここはフリースクールなのか?……p.17
もう大丈夫、克服したと思ってたけど……p.18
なんとかなるという謎の自信を得た……p.20
楽しいことなんてレアだと思ってた
中園峻二
地方公務員
家庭の方針で小さいころからテレビやゲームを厳しく制限されてきた中園峻二さん。クラスメイトと話があわない少年時代を過ごす中で、疎外感を感じることも多かったといいます。
両親に勧められて受験した私立中学校は合格したものの、知っている人が誰もいない環境になじめず、中1の夏休み明けから不登校になりました。「ずっと社会の正道に戻りたかった」と振り返る中園さんの不登校時代と、大学に進学、就職して今にいたるまでの道のりをお聞きしました。
自分を追い込んでたし、追い込まれてた……p.24
楽しくもなんともない……p.26
社会の正道に戻りたかった……p.28
行く先をとにかく不安に思ってた……p.30
未来のことより今の連続を大事にしたい
飯泉哲哉
小児科医
地元の静岡県富士市で、小児科医として子どもにかかわる地域活動に積極的に参加している飯泉哲哉さん。
「起立性調節障害」の親の会を主催するようになったのも、かつて長女が朝起きられなくなり、不登校になったことがきっかけでした。
お子さんの不登校を経験して診察の姿勢も変化したという飯泉さんに、これまでの経験を振り返っていただきました。
自殺しちゃうんじゃないか……p.34
あれ? 俺、昔だったら怒ってたけど……p.37
本人が今してほしいことは何か……p.38
経験しなければわからなかったこと……p.40
みんな、生きていこうね!
田中あきよ
西宮市議会議員
2014年に、不登校の子どもと親の居場所「トコトコくらぶ」を立ち上げ、さまざまな生きづらさを抱えた親子とかかわってきた田中あきよさん。2019年には西宮市議会議員に立候補、見事初当選を果たします。
3人のお子さんそれぞれの子育ての中で不登校を経験し、長く苦しい時期を経てきた田中さんに、今の活動に至るまでの経緯をうかがいました。
同じ環境で比べながらは本当にしんどい……p.43
順調から一転、バトルのような日々に……p.45
大丈夫と思いながらも体が反応していた……p.47
ここまで言える人はそんなにいない……p.48
こんな生き方ができるんだ
渡部正嗣
オンライン不登校サポート カゼマチ 代表
「大切なことを教えてくれた娘に、恩返しがしたい」――そんな思いを胸に自然豊かな島根県隠岐の島の環境を生かした親子キャンプなど、不登校の親子をサポートする活動を始めた渡部正嗣さん。公立中学校の校長職を務めながらの活動でしたが、その後、定年を前に校長を辞し起業します。
かつては子どもたちを支配・操縦することが得意な「日本型パワー教員」だったと自らを振り返る渡部さんに、ご自身のこれまでと転機となった次女の不登校の体験をうかがいました。
校長になって自分なりの学校をつくろう……p.52
この子の学校はなんとかしてあげたい……p.54
親としての欲求をあきらめよう……p.56
もっと楽しい学校つくろうよ…p.58
ナルシストであれ。バカであれ
山本紘彰
珈琲で世界を笑顔にする人
トップレベルのバリスタが審査員を務めるコーヒー大会でプロを抑えて優勝し、高校生バリスタとして起業。たくさんのメディアにも取りあげられた山本紘彰さんですが、中学1年生で不登校を経験したときには、「もう死んでしまおう」とまで思い詰めた時期もあったといいます。
転機となったのは、留学した地中海に浮かぶ小国、マルタ共和国での体験でした。学びと交流の場の運営やラジオでの発信など、静岡市を中心にさまざまな活動をしている山本さんにお話をうかがいました。
「会話」が自分の強みかもしれない……p.62
寝ながら息して天井を見上げて……p.64
よし、お前生意気だから教えてやる……p.66
びーんずネット代表。
2018年春より、親子関係をよくするためのコミュニケーション講座や不登校に関するセミナーを開催する「びーんずネット」の活動を始めました。
小学3年生のときに不登校になり、デモクラティックスクール・通信制高校を経て現在大学生の息子と夫の三人家族です。
川崎市子どもの権利委員会委員、親業インストラクター、産業カウンセラー、国家資格 キャリアコンサルタント。
びーんずネット事務局担当として制作、運営などマーケティング全般を担当。息子の不登校を経験する前は、中学の「お受験」を考えるようないわゆる一般的な教育観を持つ父親でした。
とにかく一人でも多くの方にお読みいただきたい!
その思いから、送料については無料とさせていただきます。
※宅配便ではなく、ポストに直接投函される「クリックポスト便」でお届けします。
日時の心配なくお受け取りいただけます。
びーんずネットの金子純一が息子の不登校に悩む間、自分の両親に送り続けたメールをまとめた『不登校日記|僕らの場合』。
計18通のメールは、当時の状況と心境を率直に綴った生々しい記録になっています。
WEBで公開した内容を読みやすいA5版サイズの冊子にまとめ、書き下ろしの前書きと後書きを加えた「非売品」です。
『不登校日記|僕らの場合』金子純一:著
◆A5版 全62ページ(表紙/中面モノクロ)。附録「不登校について語るときに私が語ること」収録。
その場合には遠慮なく、90日以内にお知らせください。
全額、無条件で返金いたします。
本を送り返す手間も費用もかかりません。安心してお試しください(ただし複数冊セット購入の場合は除外となります)。
温かい励ましを感じました
漫画家
棚園正一
読んでみたいと思ったキッカケは、Vol.6に掲載されている谷川明子さんの記事でした (講演会を主催してくださったりとお世話になっています)。
みなさんの言葉に沢山のことを勉強させて頂きました。
正直、自分はまだ”親”という立場ではないので、両親の気持ちは全て理解できる訳ではないと思っています。
ただ、この本に綴られているみなさんの等身大の言葉が、今まで遠くに感じていた両親の気持ちと、幼かったころの自分の気持ちをつないでくれた感じがします。自分の思い出と重なる部分も沢山あって、あのとき母や父はこんな気持ちだったのかも……と感慨深くなりました。
はじめてこの本を手に取られる方の中には、お子さんへの対応や自身の行動の「正解」が分からず、八方塞がりになって苦しんでおられる方も多いと思います。
しかし金子さんご夫妻の道のりや、経験者のみなさんのインタビュー記事を読んでいると、そんな「正解」なんてないことに改めて気づかされます。
「ずっと試行錯誤の道は続いていて、それで良いんじゃないのかな?」って横に並んで声を掛けてくれているような、そんな温かい励ましを感じました。
大人になった自分は今、不登校やひきこもりで苦しんでいる時間は過ぎましたが、学校へ行けない苦しみに関わらず、とても勇気づけられる経験談ばかりでした。
きっと、それぞれの形で幸せは続いていくんですね。
素敵なお話の数々、貴重な出会いをありがとうございました。
もはや裏切ることのない連作短編集のようで、何度も胸が熱くなるし、読み進むのがもったいなく感じるのも同じことで。
洗練度もましているようにおもえるし、多様性(と呼べばいいのでしょうか?)も良い意味で広がっていると思います。
Vol.6のp.10で村上雅郁さんが、「こんな暗い話になると思わなかったな自分でも」と呟いておられるのがいいですね。
人に聞いてもらえるから語れる、気づく、深く入っていけるところが心の中にはあるのだと思います。
読めば元気が出る、とても深いできばえだと思いました。
ありがとうございました。
先入観を変えるきっかけにも
親業訓練インストラクター
村林さえ
この冊子には「やさしさ」や「おおらかさ」「多様性」を感じるんですね。
「こうすべき」ではなくて、“こういう人のこういう生き方もあるよ”という例をたくさん見せてくれるというか。
不登校になると、私もそうだったんですけど、親はどうしても煮詰まってしまうことが多いと思うんです。
そういうとき身近に理解者がいれば一番いいんでしょうけど、身近に理解者がいなかったとしても、ここに出ている人の様々な経験とその後を読むことで、「不登校も人それぞれ」ということがスッと入ってくる。もうこの冊子自体が「理解者」になってくれるというか。
活字になっているっていうのも大きいですよね。
私自身、びーんずネットさんのインタビューを受けたとき、娘の不登校の経験は本当に「かなり前のこと」だなって感じてたんです。「そんなこともあったよね」ぐらいの。
記憶の中で薄れちゃってた気がするんですけど、やっぱり人生の様々な経験のひとつのパーツとして、親の中にも子どもの中にもしっかり埋め込まれて、根付いている。それが今に連なっていて、この先の未来にも続いている。
読み返すことで、改めてそんな気持ちにもなりました。
この冊子が不登校に対する、いろんな世の中の先入観をじわじわと変えていく――そんなきっかけにもなるんじゃないかな、とすごく思っています。
これこそが私が求めていた本でした
考える余裕が少し生まれました
キレイごとではない生の体験
心がずんとします
期待ではなく大丈夫という安心感
空を見上げるちあきさん
迷いが出るたびに読み返したい
話を直接聞いている感じ
みき子さん
いろんな選択肢があるよ
小学校養護教諭
こういう生き方もあるよ、いろんな選択肢があるよというのは伝えてあげたい。
私、通信制にも定時制にもいて、高卒認定も取ってるし、短大から大学に編入もして――本当にどうにでもなるよって思う。いろんな選択肢があるから大丈夫です。
まずは知識を
オンライン不登校サポート カゼマチ 代表
渡部正嗣
学校の先生に読んでもらいたいです。
先生を責めるつもりは全然ないんですよ。先生も一生懸命なんだけど、ただ不登校についての理解をしていないからこそ、良かれと思って変なことしちゃうことが起こっているので。
まずは知識だと思うんです。不登校に対しての理解を深めてほしい。
小児科医
飯泉哲哉
小児科医をもっと巻き込んでうまく利用してほしいと思います。
小児科の先生に手伝ってもらいたいこと、たとえばこういうイベントがあるんですけどどうですかとか、インタビューさせてくださいとか、講演会をお願いしますとか、地域のことに小児科医を巻き込むことは、いろんな意味で地域を良くするような気がしますので。
帳尻は大学で合わせたらいい
地方公務員
帳尻を合わせるなら大学で合わせたらって思います。
大学は別に浪人して入ったっていいんだし。当時の自分は「普通」にしがみついてましたけど、オルタナティブな道をたどったとしても別にいいんじゃないかなと思いますけどね。
親御さんは思い詰めないで
大学生
赤野彩希
親御さんに読んでもらって「思い詰めないでほしい」と伝えたいですね。親の責任とか私はまったく思ってないんですよ。つらく考えすぎないでほしいです。
とにかく生きてください
西宮市議会議員
田中あきよ
大丈夫。生きててください。
死にたくなる気持ちもわからなくはない。だけど、生きていくと必ず何かあるので、とにかく生きてくださいってことかな。
不登校を生かさない手はない
山本紘彰
レッテルってみんな言いますけど、不登校ってすごくいいキャッチコピーで。
普通に「コーヒー屋さん始めました」って言ったら「へえ」じゃないですか。
僕は「元不登校生の高校生バリスタがコーヒー屋やってます」っていう売り方にしたんですよ。なんてキャッチコピー(笑)。それを生かさない手はないと思います。