学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?
もちろん、そこに正解はありません。
世の中の多くのものごとと同じように。
でも、いろんな例を見聞きし、知ることができれば、悩みの渦中にいる人の不安を和らげるのにきっと役立つのではないか。
そんな思いから、このインタビュー事例集を制作しています。
その名も『雲の向こうはいつも青空』。
不登校・ひきこもりを経験した人、
その保護者、子どもたちに寄り添う人、
そして自分の学びを実践した人。
そんな7人へのインタビュー集です。
書き起こした文字数は7名合計で331,920字、録音した時間の総合計は21時間37分51秒……。
もちろん、取材にかけた時間が長ければ良い、というわけではありません。
一人ひとり、時間をかけて取材する中で出てきた、その人にしか言えない言葉。
振り返ってみての、それぞれの思い。
今になってみて改めて言える、それぞれの経験。
それらをできる限り丁寧に、話し手の経験の奥にある本当の気持ちに寄り添うように、まとめました。
申し遅れました。びーんずネットと申します。
私たち夫婦は神奈川県川崎市で、お子さんの不登校に悩んでいる親御さんを対象とした様々な活動(セミナーやイベント、出版など)をしています。
私たち自身も2013年に息子の不登校を経験した親です。
息子の不登校という予期せぬ事態を目の前にして、迷い、悩みました。
そして今、振り返ってみて思うのは、悩みの渦中にあるときに私たちが知りたかったことは、誰かのお説ごもっともなアドバイスではありませんでした。
安全地帯から無責任に同情してもらうことでもありませんでした。
私たちが本当に知りたかったのは、見えない将来の不安や迷いの中から”抜けていった人たちの事例”でした。
悩みの中にいたときに読みたかったもの、あのころ自分たちが本当に欲しかったものを作りたい。
きっとそこにヒントや安心を見出して、勇気づけられる人がいるはずだから…。
その思いからこの事例集を作っています。
ここには、明確なメッセージはありません。
具体的なアドバイスもありません。
ここにあるのは、この事例集に登場してくださった7人の、リアルで等身大の言葉と、思いです。
悩みの渦中にいる人も、そうでない人にも、きっと沢山の気づきにつながる素晴らしい言葉に出会えるはずです。
ページを繰って、ぜひあなた自身でそれを確かめてみてください。
七割の力で生きていく
千葉市の病院で看護師として活躍している坂本直樹さん。幼少期から知らない環境に入ることに不安と恐怖があった、と振り返ります。小学二年生から不登校になり、中学にはほぼ行かずに卒業。高校に入学したのは19歳。そして看護大学へ入学したのは、坂本さんが28歳のときでした。
「プライドが高く完璧主義だった」という坂本さんが、ありのままの自分を受け入れ、無理なく生きていけるようになるまで。その道のりをうかがいました。
そんなことやっても逆効果ですよ……p.6
自己決定できる環境かどうか……p.9
もう本当にラストチャンス……p.10
私が自分らしくいられる場所
IT企業のシステムエンジニアとして入社4年目を迎えた本間友絵さん。中学校で入部した軟式テニス部では、縦社会の理不尽さに戸惑ったことがきっかけで不登校になりました。
みんながあたり前にできることができていない。そんな負い目を感じていた本間さんに、新しく通うことになったフリースペースのスタッフは誰一人、特別扱いすることはありませんでした。中学三年生で学校に戻るまでの約一年間、不登校だった当時の気持ちをうかがいました。
私みたいに思う人っていないんだ……p.14
違和感がむしろ膨らむ……p.17
自己肯定感がだんだん埋まっていく感覚……p.18
自分が自分でいられる気がした……p.20
できないことがあってもしょうがないよね
荒井三奈
大学生
教育学部で学ぶ大学四年生の荒井三奈さん。学習障害のひとつ、書くことに困難があるディスグラフィア(書字障害)などのご自身の経験から、多様な子どもたちについて学ぶゼミで卒業論文を執筆するかたわら、秋の保育士試験に向けて勉強に取り組んでいます。
不登校になれなくて「プチ不登校」状態だった小中学校時代。居場所を探し続け学校を転々とした高校時代——。自分の特性を知り、悩み、迷いながら「今」を懸命に生きる三奈さんにお話をうかがいました。
学年一の問題児……p.24
“パンッ”てエンジンが切れる……p.27
初めて人間として扱われた気がした……p.28
生きてればなんとかなる……p.30
真っ暗なトンネルなんてなかった
長阿彌幹生
教育文化研究所 代表
教育文化研究所代表として、“心豊かななかよし社会”を目指し、幅広い活動を続けている長阿彌幹生さん。鳥や草花などの自然に親しみ、絵画や音楽など多彩な趣味を持つ長阿彌さんは、40代までは大手流通企業の会社員でした。
多忙を極める日々の中で、三人のお子さんが不登校に。そのときにカウンセラーから言われた衝撃の一言が、それまでの生き方を見つめ直す転換点になりました。ご自身とご家族のこれまでを振り返っていただきました。
奥さん死ぬかもしれませんよ……p.34
お父さん、あんたが悪い……p.36
「長阿彌さんって冷たいね」……p.38
しみじみと思いあたる……p.40
私もお母さんを頑張ってたんだ
白石陽子
認定NPO法人みやっこサポート不登校支援リーダー
兵庫県西宮市のフリースペースで子どもたちを温かく見守り、寄り添い続けている白石陽子さん。長女が五月雨登校だったころ、悩みながらも長女を理解し向き合おうと努力していました。その後、長女は高校を卒業し、大学に進学。ところが何気ない白石さんのひと言に、親友が思いもかけない言葉を口にします。
「自分のしんどさ」に気づいた白石さんが、カウンセリングを受ける中で思い出した「ある記憶」。閉じ込めていた思いと出会ったとき、白石さんに大きな変化が訪れました。
行きたくないならもう行くな!……p.42
親子関係を見直したほうがいい……p.44
あなた全然変わってないね!……p.46
お母さんも自分を責めないで……p.48
そういう人生もありなんだ
太田聡美
poco pono COCO代表
愛媛県伊予市を拠点に、学校が苦手なお子さんのための居場所と、保護者のための活動をしている太田聡美さん。ご自身も中学二年生の夏休み明けから不登校になり、家にひきこもる生活を経験しました。
中学卒業後は進学せず、社会に出ることを選んだ太田さん。多くの仕事を掛け持ちしながら働く中で気づいたこと、そして自分自身にOKが出せるようになった大きな転機。太田さんのこれまでと、これからの夢をうかがいました。
体の力が入らない…p.52
心配の顔しか覚えていない……p.54
ようやく解放された……p.56
自分にOKを出せるようになった…p.58
じゃあもう勉強しかないやん
今田剛士
自由な学び場HIRU—net代表
東京都武蔵野市にあるフリースクール「自由な学び場HIRU-net」。子どもたちの学びと遊びの「隊長」今田剛士さんが学校に行けなくなったのは、中学二年のとき。それからの約一年はひきこもってホラー映画のビデオを観て過ごす日々でした。
転機となったのは同級生との偶然の出会い。不登校は弱いという世間のレッテルを「グレる」という形ではねのけます。
働くか、それとも——。その後の選択が子どもたちの「自由な学び場」につながるまでの、波瀾の人生をうかがいました。
もうトラックに轢かれたろうかな……p.62
弱さのレッテル貼り……p.64
悩むところまで来てるじゃん……p.67
びーんずネット代表。
2018年春より、親子関係をよくするためのコミュニケーション講座や不登校に関するセミナーを開催する「びーんずネット」の活動を始めました。
小学3年生のときに不登校になり、デモクラティックスクール・通信制高校を経て現在大学生の息子と夫の三人家族です。
川崎市子どもの権利委員会委員、親業インストラクター、産業カウンセラー、国家資格 キャリアコンサルタント。
びーんずネット事務局担当として制作、運営などマーケティング全般を担当。息子の不登校を経験する前は、中学の「お受験」を考えるようないわゆる一般的な教育観を持つ父親でした。
とにかく一人でも多くの方にお読みいただきたい!
その思いから、送料については無料とさせていただきます。
※宅配便ではなく、ポストに直接投函される「クリックポスト便」でお届けします。
日時の心配なくお受け取りいただけます。
びーんずネットの金子純一が息子の不登校に悩む間、自分の両親に送り続けたメールをまとめた『不登校日記|僕らの場合』。
計18通のメールは、当時の状況と心境を率直に綴った生々しい記録になっています。
WEBで公開した内容を読みやすいA5版サイズの冊子にまとめ、書き下ろしの前書きと後書きを加えた「非売品」です。
『不登校日記|僕らの場合』金子純一:著
◆A5版 全62ページ(表紙/中面モノクロ)。附録「不登校について語るときに私が語ること」収録。
その場合には遠慮なく、90日以内にお知らせください。
全額、無条件で返金いたします。
本を送り返す手間も費用もかかりません。安心してお試しください(ただし複数冊セット購入の場合は除外となります)。
温かい励ましを感じました
漫画家
棚園正一
読んでみたいと思ったキッカケは、Vol.6に掲載されている谷川明子さんの記事でした (講演会を主催してくださったりとお世話になっています)。
みなさんの言葉に沢山のことを勉強させて頂きました。
正直、自分はまだ”親”という立場ではないので、両親の気持ちは全て理解できる訳ではないと思っています。
ただ、この本に綴られているみなさんの等身大の言葉が、今まで遠くに感じていた両親の気持ちと、幼かったころの自分の気持ちをつないでくれた感じがします。自分の思い出と重なる部分も沢山あって、あのとき母や父はこんな気持ちだったのかも……と感慨深くなりました。
はじめてこの本を手に取られる方の中には、お子さんへの対応や自身の行動の「正解」が分からず、八方塞がりになって苦しんでおられる方も多いと思います。
しかし金子さんご夫妻の道のりや、経験者のみなさんのインタビュー記事を読んでいると、そんな「正解」なんてないことに改めて気づかされます。
「ずっと試行錯誤の道は続いていて、それで良いんじゃないのかな?」って横に並んで声を掛けてくれているような、そんな温かい励ましを感じました。
大人になった自分は今、不登校やひきこもりで苦しんでいる時間は過ぎましたが、学校へ行けない苦しみに関わらず、とても勇気づけられる経験談ばかりでした。
きっと、それぞれの形で幸せは続いていくんですね。
素敵なお話の数々、貴重な出会いをありがとうございました。
もはや裏切ることのない連作短編集のようで、何度も胸が熱くなるし、読み進むのがもったいなく感じるのも同じことで。
洗練度もましているようにおもえるし、多様性(と呼べばいいのでしょうか?)も良い意味で広がっていると思います。
Vol.6のp.10で村上雅郁さんが、「こんな暗い話になると思わなかったな自分でも」と呟いておられるのがいいですね。
人に聞いてもらえるから語れる、気づく、深く入っていけるところが心の中にはあるのだと思います。
読めば元気が出る、とても深いできばえだと思いました。
ありがとうございました。
先入観を変えるきっかけにも
親業訓練インストラクター
村林さえ
この冊子には「やさしさ」や「おおらかさ」「多様性」を感じるんですね。
「こうすべき」ではなくて、“こういう人のこういう生き方もあるよ”という例をたくさん見せてくれるというか。
不登校になると、私もそうだったんですけど、親はどうしても煮詰まってしまうことが多いと思うんです。
そういうとき身近に理解者がいれば一番いいんでしょうけど、身近に理解者がいなかったとしても、ここに出ている人の様々な経験とその後を読むことで、「不登校も人それぞれ」ということがスッと入ってくる。もうこの冊子自体が「理解者」になってくれるというか。
活字になっているっていうのも大きいですよね。
私自身、びーんずネットさんのインタビューを受けたとき、娘の不登校の経験は本当に「かなり前のこと」だなって感じてたんです。「そんなこともあったよね」ぐらいの。
記憶の中で薄れちゃってた気がするんですけど、やっぱり人生の様々な経験のひとつのパーツとして、親の中にも子どもの中にもしっかり埋め込まれて、根付いている。それが今に連なっていて、この先の未来にも続いている。
読み返すことで、改めてそんな気持ちにもなりました。
この冊子が不登校に対する、いろんな世の中の先入観をじわじわと変えていく――そんなきっかけにもなるんじゃないかな、とすごく思っています。
これこそが私が求めていた本でした
考える余裕が少し生まれました
キレイごとではない生の体験
想像以上に記載されている
期待ではなく大丈夫という安心感
空を見上げるちあきさん
濃いのにさらっと読める
話を直接聞いている感じ
みき子さん
寛容になるきっかけになってもらえたら
認定NPO法人みやっこサポート不登校支援リーダー
こんなふうに子育てで悩んでたお母さんもいるんだと知ってもらうことで、不登校に対して寛容になるきっかけになってもらえたらいいですね。
不登校への見方が変わるだけでラクになる親子が増えると思うんです。あたたかい目で見ていただけたらなって思います。
いつかトンネルは抜けられる
大学生
荒井三奈
私も凸凹があるし今も現在進行形で迷い中だけど、こんな私でも成長できたので。いつかトンネルは抜けられるって伝えたいです。
子どもは失敗して悩みながらも毎日たくさんの成長をするので、迷いながら自分にあう道を進めばいいんじゃないのかなって。できないことより小さな「できた!」や成長を大切に見守ってほしい。
不登校でも大丈夫です
poco pono COCO代表
太田聡美
不登校でも大丈夫です。周りの大人が「不登校でも大丈夫だよ」って言ってれば子どもは大丈夫です。子ども自身では大丈夫だって思えない。だから周りの大人が大丈夫だよって思うところから、子どもは元気になっていくんじゃないかなと思います。
「根拠のない大丈夫」が一番強いと思っております(笑)。
印象だけで決めつけないで
会社員
最初の印象だけで不登校を決めつけないでほしいですね。いろんな背景があって不登校になるわけで。たとえば私みたいに今、抜け出して社会で生きている人たちがいる。そういう人たちもいることを知ってほしいと思います。
これから先の生き方を考えたいと思ってる方に
教育文化研究所 代表
長阿彌幹生
もっと自分のことを知りたいとか、これから先の生き方を考えたいと思ってる方に読んでもらったらいいかなと。私の話が参考になるかもしれないですよね。
一人で悩まないで
看護師
坂本直樹
親が精神的に安定していることが一番だと思うので、一人で悩まないでほしいです。安心できる場に行って話したりすることが本当に大切かなって思います。
別の道だってどうせしんどい
自由な学び場HIRU-net 代表
今田剛士
不登校は逃げじゃないから。それは君が選んでるだけだから。別の道だってどうせしんどいから(笑)。
大蛇が住んでそうな沼と、狼男が出てきそうな森のどっちを選ぶ? っていうときに、君は森を選んだだけだから。その狼男もどうせ倒して次のところに絶対行けるから、何も心配する必要はないんだよ。