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場を、醸そう。
いまから書く文章は、少し長いです。そして、読むのが面倒くさいものかもしれません。けれど、この文章を最後まで読んでいただき、「ああ、確かにそうだよねえ」と思っていただけたならば、きっとわたしたちと一緒に問い、学んでいくことができると思います。以下の文章は「選び、選ばれる」という関係性を促すためのものではなく、よりよい関係性を築いていくための入り口になるものなのではないかと。そんなふうに考えています。
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はじめまして。兵庫県尼崎市で「株式会社ここにある」という会社を営んでいる藤本遼と申します。「いかしあう生態系を編み直す」という考え方を大切にしながら、地域におけるさまざまな「プロジェクト」や「場づくり」に関わっています。詳細は、ぜひ会社のサイトやFacebookをご覧ください。
もう一人の運営メンバーは、奈良県東吉野村で「オフィスキャンプ東吉野」という場所(一応コワーキングスペースと謳っている)を運営している「合同会社オフィスキャンプ」の坂本大祐です。デザイナーであり、クリエイティブディレクターでもある彼は、一方で「場」というものとも向き合ってきました。彼は「LOCO」という団体の代表でもあり、さまざまな地域にコワーキングスペースという「場」を導入すべく、動いています。
そんなわたしたちは、これまで数年間「場づくり(と呼ばれるなにか)」に取り組んできました。しかし、同時に「場づくり」という言葉や表現に違和感のようなものを抱いてもいました。どこかしっくりこない、そんな感じを持っていたのです。
どうしてなんでしょうか。
「つくる」という言葉には、「自分(ひとり)でつくる」というニュアンスが含まれている感じがします。だから、自分以外のものの状態やはたらき、それらが持つ主体性や可能性がないがしろにされているような気がしてしまうのです。本当はもっと、自分以外のなにかのはたらきが「場づくり」においては重要なのではないか。そんなことを思うのです。
「杜氏(とじ・とうじ)」は、お酒をつくります。しかし、厳密にはお酒をつくっているのではないようにも思われます。彼らがしていることは、微生物(麹菌)がより良い状態で活動できるようにするための「環境の設定(デザイン)」や「関係性の編集」なのではないかと。そうしたことの結果として、お酒という価値が生まれている。そのように捉えることはできないでしょうか。
これが、一つ目のわたしたちからの問いかけです。
「場づくり」は「個(人)的」な営みではないのではないか、ということ。
それはつまり「場づくり」とは、常に「他者(自分以外のもの)」の影響を受けつつ、その中で立ち上がってくる「公共性(の創造)」のことを指すのではないか、という問いでもあります。
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「場づくり」は、「コミュニティマネジメント」や「コミュニティオーガナイジング」とは異なるものだとわたしたちは考えています。「場づくり」というコンセプトは、良好な人間関係の構築だけを指し示すものではないですし、「(コミュニティの)内側」の経営や運営について思考し、実践するためだけのものでもありません。「場づくり」というコンセプトの射程は広く、時間的な制約や空間的な制約、さらには、(生物)種の制約をも超えています。「なにかとなにかの関係性」をよりマクロに鳥瞰して眺めていくこと、あるいは時間軸を行き来して眺めていくこと、それが「場づくり」における大切なスタンスだと考えています。
なぜ、そのように「場づくり」を捉えているのか。
あるいは、そもそもなぜいまの時代に「場づくり」という営みを採用しているのか。
この社会的プロジェクトの背景には「あらゆる関係性は寸断され、それぞれが孤立しているのではないか?」という問いや疑念があります。それは人間関係だけに限った話ではありません。もちろん、地域(暮らしている場所の周辺)における関係性が希薄になっているということはよくある話ですし、我々の活動フィールドもその周辺にあるのですが、問題はそこだけではないと思うのです(地域の関係性をつなぎ直す「場づくり」はとても尊い活動だと思っています)。
いまの社会は、生者と死者の関係性、自然(人間以外の生物)と人間の関係性、持つ者(社会的強者)と持たざる者(社会的弱者)の関係性など、あらゆる関係性にヒビが入り、分断してしまっています。それは、経済を成長させようと意図してきたわたしたちが選んできた選択の帰結でもあります。専門化し、外部化し、サービス化してきた結果がここにあるのではないでしょうか。そして、この分断しきった社会における「関係性の編み直し」という大きな仕事に向き合うことが、いまほんとうに求められていることだとも思うのです。
しかし、わたしたちは、新しい「場」をつくることが答えではないと思っています。すでにあるそれぞれの「場」や「コミュニティ」の境界を融(と)かしたり、離れた分野や領域を編み直したりすることも「場づくり」です。むしろ、さまざまな物事が分断され、対立してしまっているこの社会で必要なのは、「境界を融かす」スキルや「異分野・異文化を編み直す」実践でもあります。
そうして、二つ目の問いかけは、「場づくり」というコンセプトが秘めている(分断を乗り越える)可能性をどう社会実装していくか、というものになります。そのために、さまざまな分野で「関係性の編み直し」を行っている方々から学びを得ていきたいと思います。
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「場の発酵研究所」とは、困難や問題がますます増えていく社会において、どのようにわたしたちが生き、新しい活動や営みを生み出していくことができるか(どう「場」を編み直していけるか)を思考・構想し、実験・実践に落とし込むための研究所です。全国各地から参加してくださる(予定の)多様な背景を持たれたみなさんと一緒に、この場自体をともに醸していきたいと思っています。
それはきっと「場」をつくったるで〜!というエネルギーとは少し異なります。「場の発酵研究所」が志向しているのは、丁寧に手をかけ、頭を悩ませ、声をかけ(問いを投げかけ)、関係性を見つめ、関係性を編み直し(あるいは融かし)、可能性を信じて、生まれてきたものを愛する、そういうスタンスであり、生き方です。冒頭にたくさんのややこしい文章を書いたのですが、基本的に重要にしているスタンスは「楽しむこと」です。楽しむことを通して、新しい世界が見えてくるのではないかと思うのです。
さまざまなゲスト講師や研究所フェローからの学びがある場になると思います。半年間という期間でメンバーそれぞれの関係性も醸しながら、新しいチャレンジをしていけるとうれしいです。
運営方法もチャレンジングです。みなさんからいただいた受講料の一部が「公的研究費」としてプールされます(金額は下記に記載しています)。そのお金は参画している研究員メンバーと一緒に「民主主義的に」活用の検討・決定をします。どのようになるのか、一緒に見届けていただければ、というより一緒につくっていただければ幸いです。
そうしたこともあって、できるだけ多様なバックグラウンドを持つみなさんに関わっていただけるとうれしく思います。それがきっと、新しい「お酒」を生み出すことにつながると信じています。オンラインだけど深い、そんな関係をみなさんと醸すことができれば。
6/8(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.01 ゲスト:写真家・MOTOKO氏
6/22(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャーvol.02 ゲスト:TERA Energy株式会社代表取締役・竹本了悟氏
7/3(土) 7:00-9:00 振り返り会① / 受講者交流会(テーマ別セッション)
7/13(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.03 ゲスト:O+Architecture(オープラスアーキテクチャー合同会社)代表・鈴木美央氏
7/27(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.04 ゲスト:一般社団法人Community Future Design代表理事・澤尚幸氏
8/7(土) 7:00-9:00 振り返り会② / 後期ゲストアイデア出し
8/10(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.05 ゲスト:株式会社Happy代表取締役・首藤義敬氏
8/24(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.06 ゲスト: 元奈良県職員・福野博昭氏
9/4(土) 7:00-9:00 振り返り会③ / 取り組みたいプロジェクト検討
9/14(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.07 ゲスト:未定
9/28(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.08 ゲスト:未定
10/2(土) 7:00-9:00 振り返り会④ / 取り組みたいプロジェクトプレゼンテーション
10/12(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.09 ゲスト:未定
10/26(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.10 ゲスト:未定
11/6(土) 7:00-9:00 振り返り会⑤ / 内容未定
11/9(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.11 ゲスト:未定
11/23(火) 19:30-22:00 ゲストレクチャー vol.12 ゲスト:未定
12/4(土) 7:00-9:00 振り返り会⑥ / 活動進捗報告会(クロージング)
奈良市出身。 元・奈良県職員「ならの魅力創造課」「南部東部振興課」などを経て、奈良県総務部知事公室次長として、奈良県の南部と東部に広がる自然環境の豊かなエリアである「奥大和」地域の振興に10数年取り組む。 他に類を見ない活動をする公務員とし、常にあちこち動き回りながら人と人をつないでいるまる面白い!と思ったことは、すぐに実現させるスピードとプロデュース力を発揮。現在は、公民それぞれの組織の相談役や顧問として関わる。
1989年生まれ。長野県松本市出身。ミリグラム株式会社代表取締役社長。真田ゆめぐるproject.主宰。上田市在住の2児の母。ライターとして言葉に向き合いながら、暮らしを一番にたのしむ係。子育てを通じて”地域であそぶ”ことに興味を持ち、2016年に「真田ゆめぐるproject.」を発足。マルシェやお茶会、夏祭りなど、各種イベントを企画運営。公園利活用の文脈から公民連携に興味をもち、PPPエージェント「ミリグラム株式会社」を設立。「もてあましがちな場や企画に価値を育む」として、長野県内で公園や団地、オーガニックマーケットの企画に参加している。2020年にはゆめぐるの発展系として、豊かな暮らしの仲介社「まにまに」がスタート。場所と人、しごとをつなげる家守会社的役割を担えるようにと試行錯誤中。
1989年生まれ。長野県松本市出身。ミリグラム株式会社代表取締役社長。真田ゆめぐるproject.主宰。上田市在住の2児の母。ライターとして言葉に向き合いながら、暮らしを一番にたのしむ係。子育てを通じて”地域であそぶ”ことに興味を持ち、2016年に「真田ゆめぐるproject.」を発足。マルシェやお茶会、夏祭りなど、各種イベントを企画運営。公園利活用の文脈から公民連携に興味をもち、PPPエージェント「ミリグラム株式会社」を設立。「もてあましがちな場や企画に価値を育む」として、長野県内で公園や団地、オーガニックマーケットの企画に参加している。2020年にはゆめぐるの発展系として、豊かな暮らしの仲介社「まにまに」がスタート。場所と人、しごとをつなげる家守会社的役割を担えるようにと試行錯誤中。
1992年3月9日生まれ。北海道稚内市出身。合同会社Staylink創業者。NPO法人E-LINK理事。北海島プロジェクトマネージャー。「流れを滑らかにする人〜あらゆる境界を融かしていく〜」がキーワード。北海道札幌市内に4店舗、小樽にて2店舗、計6店舗のゲストハウスと小さなホテルを経営・運営。NPO法人として、宿内学童保育やフリースクールを行う。外部の会社とコラボプロジェクトで、年に一度開催の、北海道移住ドラフト会議、ゲストハウスサミットの主宰、「あらゆる境界を融かしていく」をテーマに、「仮想島プロジェクト(島プロ)in 北海道 」をはじめる。「場を通して、人をプロデュースし、夢を実現できる社会を目指す」という会社のミッションの元、意義ある場づくりに魂を燃やしている。
新潟のデザイン会社U・STYLEのディレクター。各種デザインの企画・ディレクションのほか、ローカルマーケット「潟マルシェ」や、オーガニックカンファレンス「鄙潟樂|くらしのヒナガタ農学校」など、地域とデザインを掛け合わせたローカルプロジェクトも行っている。新潟市内のソーシャルアパート「グリーンホームズ新潟」では、多様な住人とともに「住むという営みに、住むこと以上の価値を見出す暮らし」を実践中。
大阪生まれ。神戸大学建築意匠設計を卒業。東京大学院アーバンデザイン修士。日建設計NAD所属。一般社団法人FCAJに出向中。「場」のハードとソフトの両方に関心があり、学生時代から空間性だけではなく、ユーザーを中心にしたコンセプトづくりを行ってきた。いいコンセプト、いい空間、想いある人の能動的な行動が「場」をつくると感じて、日建設計の新規事業部門であるNAD室に初の新卒として入社。入社後はオフィスビルや研究所のコンセプトづくりや運営、メーカーの新規事業開発、パブリックスペースや共創人材の研究に関わる。2019年よりFCAJへ出向し、場を通じたイノベーションに関する研究や、実際の場の運営サポートなどを行う。2020年、図解総研と共にパーパスモデルという共通目的とステークホルダーを可視化するモデルを発表。
場の発酵研究所が気になる方向けに、オンライン説明会があります。下記日程で開催していますので、都合のつくタイミングでご参加ください。各回同じ説明もさせていただきますが、テーマ(タイトルに沿った)トークも行います。関心のある方は、いずれもご参加ください。申し込みいただいたアドレス(連絡先)に参加のための情報をお送りします。なお、5月17日はフェローのみなさんとの座談会もありますので、気になる方はそちらもどうぞ。
<オンライン説明会開催日程>
①4月27日(火)20:00〜21:30
「非合理なお金とは。お金は何から生まれ何に使われるのか?」
②5月11日(火) 20:00〜21:30
「生活と仕事とボランティアと趣味と遊び、境界線はどこに?」
③5月16日(日)9:00〜10:30
「住まい、という場づくり。大きな視座と小さなアクションについて」
<フェローのみなさんとの座談会>
④5月17日(月)20:00〜21:30
①特待生参加枠:100,000円(税込)
②一般参加枠:120,000円(税込)
③一般(応援)参加枠:140,000円(税込)
④学生参加枠:80,000円(税込)
※いずれも全18回の講座+「みんなの研究費(15,000円)」+期間中のメンタリング / 相談(1h程度)すべての費用を含みます。
※①の特待生参加については、申し込みフォーム以外に別途「研究計画書」を提出いただき、選考させていただくというプロセスがあります。以下4点についてペーパーにまとめてください。「①場の発酵研究所において研究したいテーマ」「②検証したい仮説」「③研究方法 / 研究計画」「④研究の成果イメージ / 影響」をA4一枚以上。
※学生(22歳までの大学生。大学院生等は除く)は、④で参加することができます。
※講座(コミュニティ)開始前に一括で全額お振り込みいただきます。一括が難しいという方はご相談させてください。