自分で空き家管理を行う際には、まずは屋内の状況から見ていきましょう。長期間に渡って室内を閉め切った状態だと、空気の流れが悪くなり、湿気がこもります。

玄関や窓を開けて、空気の通りをよくすることが、住まいの寿命を延ばすための基本です。キッチンやバスルームの換気扇を回して、通気性を良くすることで湿気を逃がします。

家の中にほこりやカビが溜まるとダニが繁殖して、不衛生な環境になります。カーペットや畳、フローリングには掃除機で念入りに清掃作業を行い、ダニやほこりを吸い取りましょう。掃除機をかけた後は、床拭き専用のワイパーを使って、小さなゴミを取り除きましょう。

枕や布団などの寝具、座布団やカーペット、ぬいぐるみなどの物があれば、今後使う見込みのない物は処分しましょう。必要な物は晴れた日に外に干して日光消毒を行い、清潔な状態にします。

次に室内設備のチェックポイントとして、トイレ・キッチン・バスルームなどの水回りの設備が正常に稼働しているかどうか入念に確認しましょう。

水道を長期間使わないままでいると、サビが発生して不快なニオイを発し、水質も悪くなりますので、水道の蛇口をひねり、数分間出してみて下さい。

トイレの詰まりや水漏れなどの異常箇所がないか入念にチェックして、何か問題があれば専門の業者に連絡して早めに適切な措置をしてもらいましょう。

室内設備では、電源コードも重要なチェックポイントです。テレビやオーディオなど、普段使わない家電製品の電源コードを取り外しておくことで電力の消費を抑えることができます。長期間に渡って、電源コードが入ったままだと、突然ショートして火災を履き起こすリスクが高くなりますのでご注意下さい。

このような清掃作業や設備のチェックをこまめに行うことで、室内の不具合を早期発見して、室内の空気環境の悪化や火災などのリスクを最小限に抑えることができます。

近い将来に住む予定がある場合は、設備の不具合を発見したら早めに適切な対応をしておくことで、修理費用を節約できる可能性もあります。

次に空き家の屋外の管理における重要ポイントを見ていきます。屋外に庭木がある場合は、定期的に落ち葉やごみの掃除をして、見た目を良くしておきましょう。

このまま放置をしておくと、外観が悪くなるだけではなく、害虫の発生や不快なニオイの原因となり、隣近所にまで迷惑をかけてしまいます。梅雨から真夏の時期は気温や湿度が高くなるため、熱中症対策にも十分に注意して作業しましょう。

長時間の作業は熱中症にかかるリスクが高くなるため、30分作業したら5分程度休憩して、ミネラルウォーターや麦茶などでこまめに水分補給します。作業中に蚊にさされることがありますので、通気性が良くてひんやり触感のプルオーバーを着用するなど、工夫しましょう。

盆栽や草花を植えている場合は、草むしりや剪定を行うことで外観が良くなり、風通しが良くなるため、害虫や害獣が寄りつきにくくなります。適度にカットしておくことで植物の成長が良くなり、季節の草花を見て楽しむこともできます。

玄関の周辺やガレージの掃除も入念に行い、汚れやほこりを落とします。郵便受けに入っている郵便物を出して、ダイレクトメールなどの不必要な物があればまとめて処分します。

フェンスや外壁、ブロックの状態もくまなくチェックしましょう。フェンスの一部が破損していたり、ブロックのひび割れや外壁の剥がれを発見したら、できるだけ早めに専門の業者に現地調査を依頼して、修理してもらいましょう。

自分で行う空き家管理は時間と手間がかかりますが、建物の老朽化を防ぐことで家の寿命を長く延ばすことができます。自分で出来ることは自分で行い、時間の関係や技術的な面で無理な場合は、空き家管理代行の専門業者に依頼すると良いでしょう。それぞれ対応範囲を決めておくことで、費用を安く押さえ、本当に必要なサービスを受けることができます。

「自宅が空き家になったから今すぐにでも処分する」「家を売りたいので不動産会社に売却する」といった方法もありますが、その前に、空き家の有効活用について検討してみてはいかがでしょうか。

空き家活用の具体的な事例として、家の一部をリフォームして賃貸住宅にする方法、古民家カフェや民泊として活用する方法、シェアハウスとして運営する方法などがあります。

民泊として活用する場合、国内外からの観光客を受け入れることで、安定した収入を継続的に得ることができます。とくに人気の高い有名な観光地では、ホテルや旅館の宿泊予約が多く、行楽シーズンやゴールデンウイークには満室になることもよくあります。

そのため、民泊のニーズが高まっており、ホテルや旅館よりも安い価格で家庭のような雰囲気でリラックスして宿泊できるため、根強い人気があります。ただし、民泊を運営する際には正式な届出が必要で、地域ごとの規則が厳格になっています。

リフォームして賃貸住宅として貸す場合、立地条件や建物の状態が良ければ賃借人 (借主) がすぐに見付かりやすいです。月々の家賃収入が得られるのが大きなメリットですが、あまり家賃の金額を下げてしまうと、賃借人の質が低くなります。

契約書の取り交わしが必要で、ちょっとした食い違いから、賃借人 (借主) と貸主との間でトラブルに発展するリスクがあるため要注意です。シェアハウスも同様で、複数人で入居するため、入居者との間でトラブルになることがあります。

「空き家を管理するのが難しい」「これ以上空き家を放置すると治安が悪くなり、隣近所に迷惑をかけてしまう」「賃貸住宅や民泊にするのは手間がかかり、トラブルになりそうで煩わしい」という方は、思い切って売却を検討してはいかがでしょうか。

空き家を売却する場合、「空き家対策」に特化した不動産会社に依頼する方法があります。この他には、自治体の「空き家バンク」に登録する方法があります。

「家を売ることでまとまったお金を受け取れる」と思い込みがちですが、それほど大金を得られるというわけではありません。持ち家を手放す際には、不動産会社や専門家による査定を受けて建物の評価額が提示されます。「建物の購入価格が高額だったのに売り値が低い」と不満足な結果になることも稀ではありません。

家を売却することで利益が得られた場合は譲渡所得として計上し、確定申告では特別控除額を含めて正確な金額を申告しなければなりません。年間所得が増えることで所得税や健康保険税が上がり、税金の負担が大きくなります。

一方、自治体の空き家バンクに登録して持ち家を売却する場合は、制度の概要を正しく理解した上で正式な登録手続きを行いましょう。

不動産会社の空き家対策の場合は、中には悪徳業者が潜んでいて、売却額が定額で抑えられる場合がありますが、空き家バンクは各自治体の取り組みであるため、信頼性が高いです。

ただし、自治体による制度だからといって高額で売却できるといった保証はありません。登録手続き完了後は、建物の基本情報が自治体の公式サイトで公開され、物件を探す人が閲覧して、条件が合えば売却できる仕組みとなっています。