会計事務所物語
~30人で年商3億の育て方~
経営ってこう思う。
スタッフが楽しく仕事ができる仕組み
お客様が増える仕組み
他所より少し高い給料が払える仕組み
スタッフが家族を大事に出来る仕組み
自分の引退の花道を作ること・・・
その実践、それは、書き尽くしたと思う。
井上得四郎先生が実体験を綴った会計事務所経営のバイブル
会計事務所物語販売開始!
プレリュード
「井上得四郎」というと、「ああ、あの生命保険の!」と思われる。確かに商業高校を出て 安田生命に就職し、逓増定期を日本一売り、優績俱楽部を創ったと考えれば「生命保険」 がちらついて、当りだ。人間を理解しようとしたら、そんな「中抜き」の理解で結論を出 したら早いし、時間の節約だ。人生は出会いの数と比べたら短すぎて、そう判断でもしな ければ間に合わない。しかしだ、自分の人生にも当てはめれば了解出来よう、人生は「抜 かれた中」が一杯であることを。だから、性懲りもなく同じ過ちを繰り返すのだが。
商業高校卒で国税三法合格、35 歳独立、顧問先 400 社・年商 3 億円・30 人の会計事務所を育てる。事業承継に特化、日本事業承継コンサルタント協会理事・日本 FP 協会理事を歴任、その後記帳代行を重視する会計事務所経営に帰還、安定経営を確立。各生命保険会社の講 師 1,500 回以上、参加された方の 3 割が成約、保険料 400 憶円。63 歳で事業承継、後進に道を開ける。研修会「優績俱楽部」を立ち上げ、身体理由で解散。そう整理すると我が人 生が見え始める。2つの偉大な協会の理事に何故選ばれたのか。そう捉え返すと、「保険の井上」とは別の姿が見え、生保手数料額 10 億円だけではないことが分かろう。
義兄は言った「得ちゃんは努力の人」、その通りだと思う。「頭が悪い」から、人一倍努力 を自分に強いた、例えば税理士試験合格ライン 1 科目 1,000 時間勉強を私は 1,200 時間。大卒コンプレックスもありましたね、彼らは仕事は私以下、しかし給料は私より高い。そ れが後に税理士試験のバネになります。「負」がバネになる、そんな「暗い」人生ですね。 今、言えますね。「あなたより私は努力しました。一度もあきらめませんでした。」
商業高校卒業後、生命保険会社勤務、その後放浪無頼、郵便配達、病院請求事務、クリ ーニング店営業、和菓子職人見習いを経て、会計事務所に勤務、ときに 23 歳。2つの税理士事務所勤務 12 年、独立して 28 年、合計 40 年会計事務所業界に在った。
様々な経験、そして事業承継、我ながら見事な税理士事務所であったと思う。失敗もあった、その失敗含めて後進のみなさんに書き残すべきだと思った。
税理士事務所経営は孤独である。大それた経験もないのに「先生」と呼ばれる。「先生と 呼ばれるほどの馬鹿でなし」という言葉、我が業界に向けてではないか、と思うほどだ。
人生経験のない若い教師は何を子供たちに教えられる? 5 人程度の税理士事務所の先生に 100 人規模の経営が分かるか?過払い請求専門の弁護士に、離婚が分かるか?マルクスを読んだこともない反共論。自分の子供を「お国のための戦争」に行かせるための憲法改定。
税理士は一職種である。税務を目的にする商売である、この極めて狭い世界でのみ「先生」である。そこから全てが判断出来る訳ではない、たかが税務されど税務、でしかない。 しかしそこにも、主義がある、納税思想である。税法の理解が、納税者寄りか、税務署寄りか、将又税務署以上に右翼か、である。具体的には追徴税金を認めるか、否かである。 追徴税金は、納税者が税理士を騙していない限り(これも信頼関係を考えるが)、税理士事 務所の責任であり、納税者に附帯税の負担には疑問のあるところだ。
昔、法人設立から顧問契約のお客様だった。設立後 4 年、通常のペースの調査だった。何も問題なく是認に終わり、「是認通知」ももらった。問題は翌年、再び調査だった。
調査官は普通預金の通帳のコピーを示し、「売上漏れ」を指摘。その通帳は個人企業、その 分はすべて売上除外である。調査官が帰った後、私に頭を下げる社長。「先生を騙すつもり はなかった。」、言い出す切っ掛けがなかったんですね。顧問契約は以後も続きました。
会計事務所には、仕入はない。特殊な「消耗品ビジネス」を除いてであるが。それすら,売上の 1 割にも満たない、だから在庫が月商に迫るほどはない。不良在庫になる可能性は、財務のプロであるはずだから皆無である。つまり、運転資金による資金繰りの悪化はない。 当社では顧問料は口座振替、当月分が顧問先口座から落ち、翌月 15 日当社に入金となる。つまり、売掛金は一か月である。言い換えれば、今月の顧問料で今月の経費は払えない。
会計事務所の原価は人件費である、一般的には 5 割と言われる。一般的な会社であっても、人件費は売上総利益の 5 割上限と言われるから、同じである。人間の稼得利益とは業界を超えて変わらないものだ。
売掛金のサイトは、先述した通り翌月 15 日である、この入金後 5 日に人件費を支払うと労基法の規定 45 日以内の支払いを5日間超え労基法違反となる。であるから人件費の支払いは末締め翌 15 日になる。ギリギリだ。身内だけであれば資金繰りの都合の良いとき支払えば良い。しかし、そんなレベルは経営ではない、生活が懸かる人件費支払は絶対に遅れて はならない。だから、経営者は最低一か月分の人件費相当額の金を持っていなければ出来ない。
経営とは「支払の確実性」でもある。逆に見ると雇用契約のない経営はない。生保代理 店の歩合給 90%は、当然雇用契約ではない。社会保険加入もなかった。雇用契約とは、労働の真摯な提供、労働に対する対価の支払保証、雇用契約の維持が義務である。雇用契約 の維持とは、会社の利益の継続である。そこから考えると、労働分配率 90%は雇用契約ではないし、それによる収益とは経営ではない。雇用者に対する責任、病気・怪我に対する 固定給(貸し付ける会社もあるそうだ)がない。大手生保子会社になり、待遇はどう変わった?
税理士事務所は法律によって人事管理が規定されている。「ニセ税理士排除目的」だ。監 督義務である。しかし、名義貸しは後を絶たない。犯罪である、法律で規定された商売は,犯罪であってはならない。
当局は、生保代理店業界にも同様な「監督義務」を課す。こちらは「顧客保護」が目的で ある。自由勝手にやり過ぎた結果だ。そして、国家管理である。税理士制度は税理士会が行うが、こっちは生命保険会社が行う、茶番の様だが彼らが本気なのが笑える。
事業承継終わって7年、残務処理を終え、生保マン・税理士向け研修会運営も終えた。 残った時間は、やりたかった勉強をし、美味い寿司を食べたいと思う。
付録
2018.7 大阪講演「スーツ等の必要経費算入」
確定申告進捗管理
資料集
会計事務所物語
著者:井上得四郎