決済つきの予約システムが3,940円〜/月
寄稿「急速に進化する手技療法」フィールドワーク調査・研究レポート
肩上部を施術する整体師

八式長押し流整体
に対する考察

実際における施術スタイルと身体に与える影響

高崎整体アカデミー講師
「月刊 商業整体」 主筆
井上派長押し流整体 施術者
井上 安宅
Inoue Antaku


体験者の声のリサーチ

  • 顔つきがやさしくなる現象。
  • 古い感覚的な記憶の蘇りと落涙。
  • 施術後の五感の覚醒感。
  • 日頃無い深い睡眠と起床の蘇生感。
  • 指先、足先、体の芯までの響き。
  • 施術中に起こる寝そうで寝ない不思議なまどろみ。
  • 古い感覚的な記憶の蘇りと落涙。

 
  僕の話  

治療院サロン風景
1990年代後半、地下鉄サリン事件、阪神大震災、渋谷は子ギャルで溢れ、どことなく世の中が浮き足立っていた時代、惰性で大学を出、就職もせずに「夢に生きる」とごまかしながら、東京でブラブラ自堕落な生活をしている僕がいた。

何もかもがつまらなく退屈だった。夢を叶えても売れず食えず、求人誌をコンビニで買っては短期のバイトを繰り返す生活、何の努力もせずプライドだけは高い、そんな僕に整体師という資格はすごく魅力的にうつった。そして整体学校を出て始めた整体の職場でも腐った、整体でも売れない。

そんなときにサロンに流れてきたのが師匠だった。人として最低の人で、嘘を言う、ずるい、金に汚い、卑怯、人に嫌われる全ての要素を持った師匠は、当然スタッフの総スカンをくらった。そんな身持ちを崩した年寄りが店にいれたのは、手技の天才だったからだ。
 
 

  師匠の話  

骨盤矯正する整体師
そのときの店は、スタッフでまわす無法地帯。癖の強い、上手い奴が集まっていた。辞めた奴が他の店でトップ張ってる噂をよく聞いたし、客も「ここはレベルが違う」と言うような店だった。そこを一瞬で黙らせた。よほどの差を、越えられない壁を見せ付けなければそうはいかない。

「どれほどよ?」僕も、師匠に酒が入っていなく、機嫌がいい時に施術してもらった。頭がカーッっと熱くなり、やがて真っ白になった。世界が違う。センスという、どうしようもない絶望と、ここまで整体はできるのか?という興奮で、パニックになった。

施術も終わりかけた頃、師匠が言った「ん?オメー解る奴か」『で、弟子に!』「嫌だよ、めンどくせえ」そう言って師匠は、あたり前のようにタオル類を一切片付けず出ていった。
 
 

八式長押し流整体について

骨格模型
師匠が使った長押し流整体とは、武州多摩地方にあった手わざ療治のひとつである、かもしれない。というのは、師匠には相手を煙に巻いて笑う悪い虚言癖があった。なので以降の文は考察になる。まあ、半分絵空事と思ってもらってもいい。

師匠から教わったのは独特な「余韻」という圧の使い方だ。暇を持て余した師匠が、手すさびに、断片的に教えてくれたのがこの「余韻の手技」である。とても繊細な圧であり、印象的な響きを身体に残す。

「芯を抜け」何度も注意される。特徴的なリズムと片足立ち。「押すな!痛い。だからって体重をかけるな!重いんだよ。拇指を潰すな、脳筋かよ?ゴリゴリのほぐししてんじゃねえ…。
 
 

一般の整体,マッサージとの比較

肩を調整する整体師
防御反応(身構える)を起こすテンポの速い手技は使わない。速い押圧・減圧は拍動を速くするのでしない。体に負担をかけるので「無駄押し」をしない(手数を多くしない)。深く指を差し込むのは破壊行為。同じ理由でパン生地のようにしつこく筋肉をこねくらない(揉み返しになる)。

相手が力むので腕力は使わない、足で踏ん張らない。運動筋(表面の大きな筋肉)ではなく、より下層にある姿勢筋(抗重力筋・遅筋)を緩める。術者が息を乱してはいけない。音をたてない。圧は浸透させず繊細に響かせる。

(不快なので)ベッドから弾むような押圧をかけない。
 
 

八式長押し流の理論と効果

ハンドセラピー
これもあくまで推察である。余韻によって脳に強い印象を与え、体に変化を与えると思われる。師匠は「速いと脳は付いていけない、遅すぎると飽きる」と言っていた。「癒すこと、リラックスさせること。それ以外にねンだよ!」その言葉を思い出す。

強いリラックス(副交感神経)が代謝を良くし、活性化した血行が滋養溢れる血液と酸素,熱を運び、老廃物を排出し基礎体温を上げる。これは僕が補完したものだが、感想と総括すると、いわゆる幸せ系、回復系ホルモンといわれる(オキシトシン)などに強力に働きかけ、覚醒系の脳波に強く関係していると思われる。

―いわゆる根治系の走りだろう。
 
 
“そのために、無防備で相手の心の間合いに入り、息を乱さず、肘を殺し、膝を抜き、汗をかかず、噛み締めず、やわらかく歌うように、踊るように、涼しげな笑顔で、ゆったりと施術するのである。”(おわり)
 


おわりにかえて

ここにある文章は、もう会うこともない人や会えない個人、お店や団体などもあることから、そのへんはかなりボカして書いてある。ご了承いただきたい。また僕にとって大切な思い出や約束であることから、文章の無断転載、配布、複写(コピー)を禁じていることも言及しておく。
八式長押し流整体に関する考察

整体学校に行く前に読むブログ
無料で学ぶ整体師養成講座
Copyright © 2007-2022 takasakiseitai-ac. All Rights Reserved.