東寺のお坊さんの法話集 第三巻
「運命は自分がつくる」
山田 忍良(真言宗総本山 東寺)

2025年1月発売開始!

 
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弘法大師空海が
真言密教の根本道場として定めた
「東寺」(世界遺産)で語り続けた法話から、

珠玉の39話を厳選して再編集したシリーズ第3弾
 

■「はじめに」より

 仏教の究極の目的は「自己の変革」ですが、そのためには「学び」しかないのです。自分を変えてくれるものは「勉強」なのです。私たちは自分以外のことはよく学びます。しかし、自分とは何か、人間とは何か、生きるとは何か、人生とは何か、を考える機会はほとんどありません。それは学校でもなかなか教えてはくれません。それを教えてくれるのが宗教ですが、私の場合は仏教です。仏教は、むしろ宗教という枠を超えて、幅広い「人間学」や「人生学」と考えていただきたいのです。

 私たちは仏教を学び、人の心を学びます。他人の苦しみや悩みを知って、今まで気づかなった自分の至らなさに気づき、はじめて自分というものを見つめ、はじめて自分を掘り下げて、はじめて自分を変えていくのです。(真言宗総本山 東寺・山田 忍良)


■「運命は自分がつくる」(本文)より

 私たちは業で生まれ、業で生き、業で死んでいきます。誰かがそうしたのではなく、因縁のはたらきでそうなったのです。これを「業因縁」と呼びます。

 世界の元は無です。無限です。不生不死(不生不滅)です。それが有限の生死の中に人間としての現実をもったのです。誰かが成らしめたのではありません。そういう意味では、自己が自己をつくることをまかされています。しかし、つくった結果は自己が引き受けねばならないのです。人間は他によって自己に成るのでなく、自己によって自己に成る、つまり人間は自己の運命の創造者です。

 自分の運命は自分がつくるのです。神さまが握っているのでもない、仏さまが握っているのでもない、各人の運命は各人にまかされているのです。私たちの一つひとつの行為が運命を決定しているのです。あなたが一つひとつを選択するたびに、あなたの未来の運命が決定していくのです。

 同時に、人は人に対して人です。たった一人でいる人間はいません。人や物と関連して成り立っています。それが世界です。よって、自己の行為は自己の運命を決定するのみならず、人類の運命を決定していきます。おおげさでなはなく、一人の行為が世界の運命を決定していくという、厳粛性をもっているのです。


■目次

第1章 みんな仏道の中にいる
第2章 運命は自分がつくる
第3章 人間とは何か?
第4章 続ければ本物になる

<本文より 一部ご紹介>

■決断


私たちは流されて生きています。自分で生きているように思っていますが、時間に流されて生きています。「生まれたものは死ぬる」というのがその証拠です。できれば、一生涯、流されたままで生きていけたらいいですが、やはりどこかで死の決断を迫られます。

そのとき初めて人間は、自分の人生を自覚して一人前になるのではないでしょうか? できれば決断したくありません。なぜなら、自分の人生なのに自分で責任をとるのが怖いからです。それほど自信がないのが人間です。

しかし、選ばなくても、いつかは死ぬる人生です。それは決断をしないままの、いわば「死なされる」人生です。自分が生きた人生ではありません。やはり、すべて自分で決断をして、責任をもって生きていくことが大切です。

つまり、死なされて死んでいくのではなく、「あえて死んでいこう」と。正解か不正解かわからないけれど、自分が決めたのだから「喜んで死んでいこう」と。それが「自分の人生に責任をもつ!」ということです。

考えてみれば、人間は決断することで本当の人間になるのではないでしょうか。決断しなければ、「決断をしない」という決断をしたことになります。決断をしても、決断をしなくても、結局は、最後には自分に責任が回ってくるということです。そうであるならば、積極的に決断をして、「しかたなく流される人生」から「喜んで流れていく人生」に転換したいものです。

私たちは、意外と小さなことにこだわり、やみくもに怖がっているのかもしれません。「身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ」という言葉もあります。思い切って決断をして、結果はおまかせで生きていくような、勇気ある人生を歩みたいものです。

私の師僧は、波乱万丈の人生を歩みました。さまざまな事業に取り組み、数知れない決断の連続であったはずです。その師僧の口ぐせは、いつも感極まると、「人生は一(いち)か八(ばち)か、丁か半かの賭けである!」でありました。


著者紹介
 

Ninryo Yamada
山田 忍良(やまだ にんりょう)


1957年滋賀県生まれ。立命館大学卒業。1980年 生涯の師となる三浦俊良師(当時、洛南高校校長・東寺僧侶)と出会う。1985年より洛南高校・附属中学校で体育教師を務め、退職後は治療師の免許を取得し整体治療院を開設。1992年 真言宗総本山教王護国寺(東寺)に入寺、僧侶となる。
2008年「残りの人生を法話で生きたい!」と一念発起し、東寺大日堂で毎週日曜日に法話会を始める。2010年より月一回境内掲出の「お大師さまのおことば」を担当。2011年 東寺発行の機関紙『光の日日』の編集長に、2016年 教学部長に就任。2020年 法務部長を兼任。2021年より朝日カルチャーセンターにて法話講座を務める。現在、信者、学生、企業・団体、地域への法話を行いながら、東寺において「21日弘法さん法話」「東寺宝物館文化講座」などの公式法話を続けている。

 
 
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印刷書籍版仕様:四六判/モノクロ/本文164ページ

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「運命は自分がつくる」(東寺のお坊さんの法話集 第三巻) 著者:山田 忍良

発行:スローウォーター 希望小売価格:印刷書籍版 1,650円(税込)/ 電子書籍版 1,200円(税込)

印刷書籍版仕様:四六判/モノクロ/本文150ページ

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※当法話集シリーズは、東寺の御影堂・食堂(納経所)・宝物館でも販売しております。 
※第三巻は2025年2月から東寺内で販売予定!

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