ST君
前任の講師が交代になったため、高2の2月に依頼が来た。初日のヒアリングの結果、中学校で習う範囲の内容もあやしい状態だったが、高校で使っているからと言う理由でテキストはフォーカスゴールドにしてほしい、というリクエストがあり、青チャート相当のこのテキストですすめることになった。
 受講を始めた頃はまだ学習のモチベーションがあまり高くなかったため、30分か60分おきに休憩したり、予定よりも数十分早く終わることもあった。  また、使用テキストの問題が大量にあったため、問題にはABCDの4段階で優先順位をつけて優先度の高いものから解説した。A3の紙にカラーボールペンで数式や図解をしながら説明するスタイルをとっていたが、指導を始めた当初は話を聞いているばかりで質問もほとんどなく、自分から手を動かすことにも抵抗がある様子だった。
 しかし、ある時期からこちらが解説を終えて次の問題に進めようとすると、「ちょっと待って下さい、今聞いた問題自分でこの場でとき直してみてもいいですか?」といって私が見ている前で手を動かしながら説明した問題の解答を再現する場面がよく見受けられるようになった。
 テキスト2周目に入ってからは、テキストにある数百題の問題に対して、問題を解いた日付やそのときの自分の理解度(◎、◯、△、☓)を振り返るシートをこちらで作って渡し、授業時間外で自習するときには必ずそのシートに書きこむように伝えた。 このシートを使うようになってからは、授業に行くたびにその表で△や☓が更新されている部分があるので、この印のついたところを中心に周辺知識を含めて解説を繰り返した。この頃から自発的な質問も増え始め、河合塾のマーク模試のスコアも7割位を取るようになった。
 そして、10月からは志望校の過去問に取り組み始めた。昭和大、北里大、日本大の5年分の過去問を時間を測って解いてきてもらい、授業ではその解説を行った。 また、それと同時に大学別、分野別、難易度別、に過去問を整理したシートをここでも作成して生徒に渡し、制限時間内で合格ラインを超えるための戦略を大学別にアドバイスしました。
SYくん
他塾で大学生講師に習っていたが、思うように成績が上がらず、俺のところに来た。  面談後の東京歯科大プレテストでは0点。  テキストは前の塾でも使っていた基礎問題精講1A2Bを使うことにした。  数列分野と図形と方程式分野を特に苦手としており、基本事項の総整理を行った。
さらに、11月の推薦入試まで時間が限られていたため、  本人と話し合いながら出題されたら必ず取りに行く分野と優先順位を下げる分野を仕分けした。  また、授業を受けていないときに家で行う課題とやりかたを説明し、次の授業の始めにチェックする形をとっていた。  
授業では、疑問が残る問題の解き方とその問題の関連知識を丁寧にとことんわかりやすく板書しながら解説した。問題を解くときに使う定理や公式は同じでも、問題文の表現が違うと解けなくなることが多かったり、解き方自体は思いついても計算力不足で最終的な答えに至らないことが多く見受けられたので、カリキュールという問題集の中から本人の理解具合に合わせて丁度いいぐらいの負荷がかかるような問題をこちらで選び、演習課題に設定して、細かい計算過程も含めた解説を繰り返した。  
 そうするうちに、3ヶ月目あたりから、課題や演習問題の正答率が70%くらいにまで高まり、本人も手応えを感じつつある様子だった。  そして、11月上旬に行われた東京歯科大学の推薦入試に見事合格された。

生徒とのやり取りの様子を具体的に書くと

他塾で大学生講師に習っていたが、思うように成績が上がらず、俺のところに来た。文化系もえキャラで、会話をしているときの声はいつもすごく高い(リュックサックにアニメのキーホルダー 秋葉系?)「はー、数学って何でこんなに難しいんでしょうねー、答えに行き着くまでの計算だけでもしんどくて心が折れちゃいそうですー」「数学得意な人と同じようなところまでできるようになれないのは仕方ないとしても、推薦入試で合格ライン超えるところくらいまではなんとかしたいです」
「科目の性質上、やってすぐに効果を実感することは難しいけど、問題集を丁寧に3周くらいしたあたりから手応えを実感できるはずだよ」
「推薦入試まで4ヶ月しかないのにこの2冊の問題集を全部仕上げるってできる気がしないですー」
「全部仕上げるにこしたことはないけど、全分野のすべての論点がどれも同じように出題されるわけじゃない。問われることが多い論点と問われることが少ない論点が有るし、実際に入試で出たときには、解けないと致命傷になる問題と解けなくても合否に余り影響しない問題があったりするんだよ。だから優先順位をつけて取り組むんだ。」
「東京歯科大の推薦入試受ける人ってこの塾に僕以外にもいるんですか?」
「いるよ、今年は特に多いね。俺の知っている範囲でも3人いるけど、指定校推薦もらえているのは斎藤くんだけだよ。他の子達はみんな公募推薦だから
俺の授業を受け始めて3ヶ月後(入試の約2ヶ月前)になって
「先生、この3ヶ月でどれくらい数学の力がついたのか気になるので何か実力を測るための問題ってありませんか?」
「そういえば11月の推薦入試は2月の一般入試と違って過去問が非公開だよね。でもうちの塾には斎藤くんが入塾時に受けた去年の東京歯科大プレテストの2018年度のものもあるから、来週までに時間測って解いてきてよ。来週の授業のときに採点して解説してあげるから」
「先生、この塾のテキストとは別に、家で高校で使っている教科書彷用問題集を使って問題を解く練習をしたいんですけど、どれはやる必要があってどれは不要(後回し)にしたらいいのかわからないので一緒に見ながら仕分けしてもらえませんか?」
「いいよ。これとこれは絶対必要、これはいらん・・・・」
入試まであと1ヶ月を切る時期になって授業中の俺との受けこたえの様子を見て
「数ヶ月前と比べると、相当できるようになってるよね。」
というと
「そうじゃなきゃ困りますよ。いろいろな時間を犠牲にしてこれだけ毎日やったんだから、でもこれで十分安心とは思えません」

TNくん
2018年の8月から受講開始(当時、鶴見大学歯学部の現役2回生だった)

日本大学の系列高校の内部生で、高校時代はラクロス部だったらしい。喉に持病をもっていて毎週病院に通っていたため、当初は休講になることもパラパラあった。
 
「今歯学部の2回生?それなら、わざわざ別の大学の歯学部に入り直さなくても今のまま卒業すれば歯科医師免許取れるんじゃないの?」

「いやー僕もそう思って入学したんですけど実際はそう甘くなかったんです。大学の先輩から聞いた話なんですけど、実は僕が通っている大学の歯学部このまま在籍しても国家試験通る可能性がものすごく低いんです。留年率もすごく高くて、大学の先生達自身が「教える環境が十分にうちは整っていないから外部の国家試験対策してくれる予備校などに通って自分たちでなんとかしてください」とか普通にいっている状況なんですよ」

「通って勉強すればなんとかなるんじゃないの?」

「新宿とかに国試対策専門の予備校が有るらしいんですけど、授業料とかものすごく高くて、5回生とかになってから通って通らないとかなると取り返しがつかないから2回生のいまのうちに他の教育環境のしっかりした大学の歯学部目指すことにしたんです」

このような会話を授業の最初の方でしたのを覚えている。
数学に関しては本当に知識がない様子だったので、教科書を使って高校数学の数Ⅰの基本から教えることになった。

ASさん
1年前から集団授業をとっていたが、数学だけは成績がなかなか伸びずに6月から受講を始めた。クラス授業と同時並行して、私の個別授業をとる形になった。
使用テキストは基礎問題精講とフォーカスゴールドの☆2つから3つの例題。
 週に1回のペースだったが、毎週質問したい内容(クラス授業でわからなかったところ、自習しているときに出てきた疑問点)をしっかり整理してある様子だった。  
 本人が「解けない、わからない」という問題を解説するときは、こちらから生徒の理解度を確認するための発問を行うことによって、【どこまで理解できていて、どこから理解できなくなっているのか?】を洗い出した。
 その結果、論点によっては高校1年時に習う内容や中学校で習う内容であっても遡って解説し、手書きの説明資料を作って渡したりもした。