進学校や予備校(映像授業も含む)では、指導経験豊富なベテランの先生の授業を受けることができます。解説はわかりやすく、内容も近年の入試傾向に合わせた力になるものでしょう。その科目が得意な生徒はドンドン実力をつけ、成績を伸ばしていくことができます。しかし、その授業形式が講義形式であり、一方向の授業であるがために、苦手な生徒にとっては「馬の耳に念仏」状態です。苦手科目が克服されるどころか、ますますその科目が嫌いになってしまう可能性が高いです。
これは浪人生を見ると一目瞭然です。残念ながら現役で志望校に合格することができず、浪人を決意。ほとんどの浪人生が迷わず「予備校」に入学します。現役時代の雪辱を果たすため、並々ならぬ決意を持って受験勉強に取り組むわけですが、どういうわけか、苦手な科目は苦手なまま。1年後のセンター試験では、得意な科目は点数を伸ばしたものの、苦手な科目は現役の時と変わらず、場合によっては点数が下がっているなんてことも。結局、苦手な科目が足を引っ張ってしまい、浪人したにも関わらず、志望校に合格できず、ワンランク下の大学へ進学することに。
決して、学校や予備校の授業を否定するつもりはありません。学校や予備校の講義形式の授業は得意を伸ばすには最適です。しかし、苦手は苦手になった原因が一人ひとり異なり、その克服方法も異なります。それを解決してくれるのは、個別指導です。しかも、予備校で授業を担当している(していた)ような、一流のプロ講師が貴方のためだけに1:1で苦手科目や単元の克服を指導してくれるとしたら、どれだけの効果があることでしょう。
進学校の中には「文系」「理系」というコース分けの他に「医歯薬」というようなコース分けをしている学校がありますが、「医」「歯」「薬」をまとめてしまって大丈夫でしょうか?また、予備校の講座名を見ていると「京阪」「関関同立」という名称をよく見かけますが、「京大」と「阪大」では問題傾向が異なりますし、「関西学院大」「関西大」「同志社大」「立命館大」も、それぞれ特徴的な入試傾向があります。ひとまとめにするにはあまりにも無理があります。このような形だけの志望校対策だと、ワンランク上の大学に合格するどころか、ワンランク下の大学にしか合格できなくなってしまいます。
2020年の大学入試改革。色々な情報が錯そうしていますが、一つだけ確実なことがあります。「その大学に本当に通いたい生徒だけが合格できる時代が近づいてきている」ということです。とある大学の入試広報の方と話をしていると「うちの大学を第一志望としている生徒が少ない。本当にうちの大学を希望してくれている生徒が増えなければ、良い大学にはなっていかない」という言葉が出てきました。少子化の中で大学全入時代になり、どこの大学も生き残りをかけて受験生の確保に躍起になっている状況ではありますが、その流れに反して、近年、各大学が特徴的な入試問題を出題するようになってきています。この傾向は難関大学になればなるほど顕著です。つまり、本当の意味で魅力のある大学にしていくことで、生き残ろうとしているということです。よって、万全の志望校対策をすることで、ワンランク上の志望校に合格できるチャンスが広がっています。
国公立大学へ進学する場合、センター試験は必須となります。各大学で受験する試験はすべて「二次試験」と呼ばれるのは、センター試験が必須の一次試験だからです。1月中旬にセンター試験を受験し、自己採点をした結果をもとに、出願する大学を決定します。その際に、河合塾や駿台、東進などの予備校が実施するセンターリサーチを利用することが多いですね。センター試験の自己採点結果から、志望大学の判定が出るわけですが、ここで興味深いデータを一つ。判定は上から順にA、B、C、D、Eと判定され、概ねA判定、B判定を安全圏と考えるのですが、現役生はA判定やB判定であっても不合格になる人の割合が高いです。逆に、CやD、場合によってはE判定であっても、浪人生は合格してくる人の割合が高くなります。これは、二次試験の対策にどれだけ時間をかけることができているかによるものです。一般的に、現役生はセンター試験対策に追われてしまい、なかなか二次試験(記述・論述)対策にまで手が回らないからです。だからといって、二次試験対策にばかり時間をかけてしまい、センター試験で点数が取れないにでは本末転倒です。
国公立大学と私立大学の受験の違いは、まず科目数の違いがあげられますよね。それに加えて、センター試験はマークシート方式で、幅広く基本的な問題を速く正確に、できるだけ失点をしない点数の取り方が求められるのに対して、二次試験は、記述・論述形式で、より奥深い発展的な問題をじっくりと思考し、取れる問題でしっかりと点数を稼いでいくことが求められます。このタイプの異なる2種類の試験をクリアしなくてはなりません。これらのことをしっかりと理解した上で、勉強時間の配分をしっかりと決めることが大切です。要は、いま自分が何のための勉強をしているのかを意識することが必要となってきます。さらに加えて言えば、国公立大学はセンター試験の自己採点結果次第で受験する学校が変わる可能性も高いです。よって、センター試験対策はある程度まで過去問を何度も解いていくことでできますが、二次試験対策は志望大学の過去問をやみくもに解いていても対策にはなりません。また、やみくもに自分の学力に合わない難問ばかりを解いていても二次力はついていきません。基本的な問題であっても二次試験を解くための実力を身につけることはできます。
成績を上げるために必要なことは、成績が上がらない、点数が取れない「原因」を見つけ出し、対策をすることです。体調が悪い時に、病院に行きますよね?すると、医者は「どうされましたか?」と症状を尋ねられます。そしてヒアリングした症状と、場合によって検査の結果をもとに「病気」を特定し、それに対する治療を行ったり、「薬」を処方したりしてくれますよね。ドラッグストアで「咳止め」や「解熱剤」を購入するのは単なる対処療法であり、病院に行くのとは異なります。また、年齢を重ねていけばいくほどに、病気のリスクも高まりますし、その治療も困難になります。成績も全く同じです。「数学が苦手」だからといって、分からない問題をただ教えているだけでは、咳が出ている患者に単に「咳止め」を出しているのと同じことで、いつになっても根本的な改善は見込めません。大学受験生の場合、小中高と勉強を続けてきていますので、その原因を突き止めるのも簡単ではありません。また、突き止めた原因を解決するための対策を講じるのもやはり簡単ではありません。高い専門性と経験を必要とする作業です。
学生講師が主体となっている個別指導塾や家庭教師は、ドラッグストアで薬を買うのと同じ対処療法をしているにすぎません。定期テスト対策のような、目先の問題解決には十分かもしれませんが、受験指導となるといささか不安です。また、予備校や映像授業型の予備校は一流のプロ講師が素晴らしい授業を提供していますが、予備校の授業は「薬」です。決められた指導内容、カリキュラムに沿って一様に進められていくため、その授業があなたに合わせて変えられることはありえません。よって、どの「薬」を選ぶのか、つまりどの「授業」を受講するのかを、自分の学習状況や志望校に合わせて選ぶことが必要であり、それを誤ってしまうと何の効果も出ないということになってしまいます。これらの問題を解決するために、チューター制を取り入れている予備校が大半ですが、チューターの多くはやはり学生が大半です。言い方は悪いですが、素人が「薬」を選んで販売しているに等しいです。